涼宮ナツキの憂鬱
第百話
ナツキがいなくて困るのは以外にもたった一人だった。他でもない。この俺だ。俺だけが困惑の中で立ち尽くし、呆然としたまま世界に取り残されることになったのだ。
そう、このとき気づいた。
ナツキがいない、と。
「悪い、今日は体調が悪いみたいだ」
「そうだね、早引けして寝たほうがいいよ」
「ちょっと保健室に行ってくる」と、二人に言い残し教室を出た。とは言っても、本当に保健室に行くわけではなく確認したいことがあった。
あいつらはいるんだろうな?
廊下を歩いている人を掻き分け、まず美春と長門さんのところへ向かった。
「美春いるか?」
「キョウくん?どうしたんですか?」
「長門さんいるか?」
「ちょっと待っててください。すぐ呼んできますから」
え……これが美春なのか?よそよそしい態度。馬鹿丁寧な敬語。こんな美春見たことない。て言うかこれが美春なのか?
俺の頭はますます混乱していた。
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