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kissだけ アラジン ↑続



アラジンは軽快な足音を立てて長い通路を走っていた。ぴょこんぴょこんと長く結われた、跳ねるみつあみは彼の心境を表しているようだ。この通路を抜けた先、誰も見つけられないような個室がアラジンを待っている。住人は先日からこのシンドリアに住むようになった人。ちなみに王であるシンドバッドに自己紹介も出来てない。ある意味凄い人なのだ。その彼に王から伝言を預かったアラジンは小さな腕をいっぱい前後にふって、汗を流して走る。

心拍数が上がった。けれど、キツさではあはあ。と息切れしたまま唇を奪うと彼はとても喜んでくれる。「今日は情熱的だな」と意地悪く笑って、アラジンの頭をよしよしと撫でるのだ。勢いよく開けられた扉の先、こんは驚いたように目を丸くしていた。


「―こん!――ああ、こんっ!会いたかったよ。昨日ぶりだね。……んっはあ」

「ふっ、アラジンくすぐったい」


部屋に入るやいなや、ベッドに飛び乗り、挨拶を返す暇さえ与えず唇を奪うアラジンに、こんは身をねじってキスから逃げる。目がちょっとの不満を訴えていた。そうだ。息切れするのは濃厚なキスをしたあとだからで、一日目の最初のキスは軽めがいいんだった。「ごめんね!もう一回!」息切れで乱れる呼吸を整え、もう一度顔を近づけると「用事はどうした?」大人の色気を思わせる顔つきで鼻をパクリと食べられた。さすがこん。情報が早い。先っちょをペロッと一舐めするおまけに少しムッとする。


「用事はキスが終わってからだよ」

「急ぎの用なんだろ?」

「いいの。僕が責任持つから」

「そういわれると断れない……」


小さい子どもの責任発言はぐっとくるものがあるらしい。特に可愛らしい顔をした少年が男の顔になった瞬間とか。「お前のことだよ」自分以外にもキスする子どもがいるのかと頬を膨らませるアラジンはそれを聞いて安心するようにこんの腹の上に身を預ける。


「さ、今日も元気をくれよ」

「どんな元気が欲しいんだい?」

「どんどん激しさを増すやつ……で、どう」

「いいよ。……んっ」


どちらともなく重なった二人は邪魔されない時間を堪能する。この部屋以外でしようとするとやれ「目に悪い」「教育に悪い」「こんは少年趣味か」と外野がうるさい。特にジャーファルはそういう行為を重んじるタイプだったらしく監視し、注意してくるようになった。
ほんとうざい人だよなぁ、本当は自分が一番、そういうことが得意な癖して。他人はダメで自分は良いとか躾にならんだろう。思い出して苛々、そのまま感情をぶつけるように小さな口内を弄ぶ。
小さく息を漏らすアラジンは可愛かった。そしてエロい。ちゅぱっと口をはなすと垂れた唾液が桃色の下唇をテカらせて、こんは舌で舐めとるように愛撫する。


「ふううっくすぐったいよ……」

「ん、さっきのお返し」

「別にいいけど。元気は出たかい?」

「さあ、どうだろ」


よっこらせ、と起きあがる真似をして口元をにやけさせたままアラジンをベッドへ導くこんに、アラジンはもう!と頬を丸めるが満更でもないことがすぐわかる。

キスはいつもアラジンからだ。
事故からファーストキスをもらったこんはアラジンとキスすると「体が楽になるよ」呟き、素直な少年はその言葉を信じてキスを送った。そのレベルはフレンチキスからディープキスまで様々なシチュエーションで上がっていくばかり。ほんとうにキスが元気になる薬なのか。疑問を持ちつつも、熱い舌で自分の口内を好きにされると、どうでも良くなってしまう。この気持ちの良いキスといい唇といい舌といい、手放すのはもったいない。自分でも気づかない内にアラジンはこんのキスの虜になっていた。一日何度でもこうして繋がっていたい。そう強く思うくらいに。


「んんっぷはっむ!」

「こらこら。鼻で息しないと」

「ん……でも息苦しいともっと気持ち良いから、えいっ!」


やってみてよと言わんばかりにアラジンはこんの鼻を指で摘む。そして口も塞ぐ。「どう?」「……悪くない」「じゃ、もう一回」再び腹の上で好き勝手に唇を犯す少年は、自分のことをキス好きだと称したが、こんが慈愛の籠った目で好きにさせる所をみると、こんもアラジンとのキスに何かをみいだしている。

「じゃ、行こうか」

満足するまでキスをし終え、身仕度をする背中をアラジンはじっと見つめた。シンドバッドはただこんを連れてこいといっただけで、内容は知らされていないが、顔を見た感じで大した内容ではないことはわかる。

「こんー」

「ん?どうした。アラジン」

衣服を整えた所に、ぎゅっとシャツに皺を作り張りつくアラジンの口が誘うように緩んでいて、こんは目を丸くした。チラリ覗かせる赤い舌から目が放せない。抱き締めようと屈むと、アラジンは伸ばされる手からするりと逃げてベットに腰かけた。


「ねえ、今度はこんからキスして欲しいなあ僕」

「今からシンドバッド王に会うんだろう?」

「おじさんには僕から何の用か聞いておくよ。それより、さっきのキスで疲れちゃったんだ。こんの元気を僕におくれよ」

「……元気をあげたら私の元気がなくなる」

「そしたらまた僕から元気をあげるよ」

「元気がないのに元気をくれるのか」


矛盾している。だがそれもいいか。アラジンはにこにこ笑って、衣服の首もとを緩めるこんに腕を伸ばした。目を閉じてこんのキスを待つアラジンのいるベッドを体重で軋ませ、ペロリと唇を舐め上げる。ん、と身動ぎする小さな体を足で拘束してこんは柔らかな唇を堪能するのだった。






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