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たった一晩で男に惚れる 御子柴




「お前、俺のこと本気じゃないんだろ!」と怒鳴られながら叩かれた頬に痛みがはしる。「御子柴……」こんは彼の言葉に返事をしようとしない。いや、できなかった。こんと御子柴はとある夜に知り合ってからの仲で御子柴との関係は良くて友人のはず。顔合わせ二回目の今日、遊び帰りの夕方、別れ際にこんな男女のもつれのような会話を普通するだろうか。

そういえば今日の御子柴はどことなく変だった。異常に明るいというか、浮かれているといってもいい。あの警戒心の強い猫を思わせる男が、今日はごろにゃんごろにゃん状態だった。隣を歩いていたら控えめに指二本を握られたし、映画館では肘おきに乗せていた手の下に自分の手を入れていたし、さっきに至っては腕をとられていた。それらは女を思わせる仕草だ。なぜ御子柴は女ぶるのか、と黙りこむこんに御子柴が小さく口を開く。


「俺のいってる意味、わかんねぇの?」

「すまない。お前のいっている意味がわからないんだ。きっと私の理解力が乏しいのだろうな……本当にすまない」

「いや、理解力もなにも俺たち恋人だろ?」

「……御子柴。お前女だったのか」

「そうだろ。身長的にも普通に考えて俺が女役しかあり得なくね?」


アンタのためなら尻だって使っても構わねえと、頬を赤くした御子柴がしれっとアピールするが、こんに答えられる余裕などない。衝撃を受けるので精一杯だった。この恥ずかしくもなく他人に尻を撫でさせる御子柴という男が、ホモで、ノーマルである自分を食らいにきた誘い狼という事実に。こんは震える手を動かし、急いで家族にメールを打った。


「助けろ!ホモだ!天然のホモがここにいる!」と。

しかしいつもならすぐに返ってくるメールが来ない。焦るこんは「なにをしている!」と内心叫びながら再び指を動かすが、家にいる家族がこんの送ったメールで爆笑しているとは知らず、また「俺がいるのにメールかよ」と不機嫌そうに御子柴が文句をいうのでこんはスマホをしまうハメになった。


「そういえば、さっきはなんで叩かれたんだ?」

「ああ、あれな。俺の友達の友達にデートでのアドバイスで、相手がよそよそしかったら一発ぶっ放せばいいって」


よそよそしいって今日は二回目の顔合わせだろうが。しかもデートじゃない。ただの友人同士の付き合いだ。だというのに、検討違いのことばかり口走るものだからこんの中で御子柴へのイラつきが増す。だが相手はホモだ。普通に言い返して大丈夫だろうか。もし怒りを買って襲わそうになったらどうすればいい?

表面上はクールに内面では頭をかきむしって悩むこんは知りえないことだが。家族いわく、ホモの方が繊細だし、傷つきやすい。「アンタ相変わらずお人好しだな?」と笑う家族に、精神的に体力をカラカラにされ家に戻ったこんはごろんとソファーに顔を沈めた。


「私に男友達など……いらん」

「んー。そうだなぁ女友達もいらんねえ」

「なんで全部恋愛絡みなんだっ!!」


そりゃあアンタの向こうみずな態度が相手をその気にさせるからだよ。精神的に参っているこんを家族はいじめるほどSではないため、こんの悩みの種は消えることはなかった。








夜出掛け先の帰り道で不良に囲まれていた御子柴を、たった一言で助けた固定主という設定(*´∀`)御子柴はこのあとヤンデレになる裏設定w





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