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短編
悲しみの中(平彩)


※死ネタ、微ヤンデレにつき注意











まさか、嘘でしょう?










最近、兵士達の間で不審な殺人が多発していた。




何故不審なのかと言うと、死んだ者は城の中なのにも関わらず酷く殺されていたからだ。






このままでは士気にも関わると判断した私は、1人で調査を始めた。











調査を始めて数日たったある日、何も情報がないまま私が城の中を歩いていると、兵の1人が関平の様子がおかしいと私に告げてきた。





詳しく聞くと夜中に関平が服に大量の血を付けて自分の部屋に帰る所を見たらしい…。









その話を聞いた後、私の足は関平の部屋へと向かっていた。




まさか、あの優しい関平がそんなことするはずがない。けれど……







「関平、居るの?」



…返事がない。
けれど、部屋の扉に鍵は掛かっていなかったので、私は中の様子を見てみようと思い、扉を開けた。




部屋の中は薄暗く、関平も居なかった。








「星彩」


「っ!!…関平…そ、れは…」




気配もなく背後から私を呼んだのは、探していたはずの関平なのに、振り向いて見た彼はいつもの彼とは別人のようだった。










「その…血は…どうしたの?」



自分でも震えているのが分かる声で私は言った。




「ああ…これか…人を斬ったから返り血だよ、拙者の血じゃない」







誰を――



私が言うより先に関平が口を開いた。






「…さっき星彩と話していた兵がいただろう?そいつだよ」



「!なんで…関平、あなた…」



「誰も…星彩に近付いて欲しくないんだ…これ以上、拙者は大切な人を失いたくない…」



「それだけの理由で……今まで何人も味方を殺したと言うの?…そんなことをしなくても私は関平の前からいなくなったりしないのに……」







「みんな、そう言っていなくなったんだ!!」



「…っ!関ぺ「父上も…劉備殿も張飛殿もっ!!みんなそう言って死んでいったんじゃないか!!っ…みんな勝手に死んでいくんだ!!」








そう叫ぶ関平は大切な人を失った悲しさ、寂しさ、奪った者への怒り、恨み……


この戦国乱世の中で暗く渦巻く感情が一気に体の中へ流れこんでいるような……そんな感じだった。





けれど…









「関平」


「……………」


「私は絶対、関平の前から消えないと誓う」



「星彩…」




「今よりもっと強くなって、自分と大切な人を守れるようになる。だから……もう、こんなことはやめて」










私がそう言うと関平は、苦しそうに、笑った…










「…えっ!?」






赤い鮮血が部屋に飛び散る。








その血は、私の、もの?…







「関、平…なんでっ!」




視界が暗くなっていく。




でも私の眼には関平だけが、ハッキリと映っていた。











「ごめん…ごめん、星彩……拙者は、そこまで強くなれないから……せめて、拙者の手で……」







関平の声は、そこまでしか聞こえなかった。




そして私の視界は暗くなり、関平の悲しそうな顔だけが、最後に見えた。











…関平、貴方はいつからそうなってしまったの……?





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