短編 やっぱりオカン(佐かす) 時々、コイツが本当に男なのか疑いたくなる 「…おい、まだか」 「ちょっと待ってってば!まだ窓の鍵閉めて無いし!」 「そんな家中の鍵閉める事ないだろう…コンビニに行くだけなんだから…」 「ダメだってば、その油断が危ないんだって!空き巣にでも入られたら大変でしょー?」 「ハァ…私は先に行くぞ…」 「わー!待って待って!!」 ★ 「…なんで雨なんか…」 買い物を済ませ外に出ると、けして弱いとは言えないくらいの雨がザーザーと降っていた。 「かすがー、行くよー?」 「なっ!?」 後ろの方を振り向くと、佐助は、右手に傘、左手に買った品物を持って立っていた。 これで割烹着を着たらそれこそ買い物帰りのオカンだと思う。 「お前、その傘、いつの間に買ったんだ?」 「えー?コンビニで傘なんて買う訳ないっしょ〜結構高いんだよ、コンビニは…」 「じゃあ…持って来たのか?別に曇ってはなかっただろう」 「んー?出かける前に天気予報やってたからねー…ってゆーか、かすがってばなんでそんな事きくのさ?」 なぜコイツはこんなにもオカンキャラが定着しているのだろうか…… 今度、割烹着でもプレゼントしてやるか… 少し佐助を見直したのか、可哀相に思うのか分からない気持ちで、傘を受け取ろうとすると、 「よし、じゃあ帰ろうか」 「……何の真似だ」 「何が??」 「何故私がお前と並んでいるのか聞いてるんだ」 「え〜、傘が1本しか無かったら相合い傘して帰るでしょ、普通」 「…何故2本持って来なかった」 「…なんでだろうねぇ〜」 「…ビニール傘、買ってくる」 「えっ、ちょっと、かすが〜?」 やはり、コイツのオカン性質は尊敬するものではない。 終わり [*前へ][次へ#] |