短編 ひとつだけ、(晴若) ※若菜一人語り、死ネタ捏造 私は、大好きなあの人を置いてきてしまいました。 本当に本当に、大切だった 叶うのなら、ずっと隣に居たかった。 隣で、器用そうで不器用な、あの人を最後まで支えていたかった。 けれどその望みは叶うはずもなくて、 私が最期に見たのは悲しそうに涙を堪えるあの人の顔でした。 私が居なくなった後、あの人はきっと昔のように自分を隠して生きるのだろう、と それだけが本当に悲しくて、私は泣いてしまいそうでした。 それでも、あの人は言いました。 笑ってくれ、と、 それは私の台詞です、とも言い返せず、私はせいいっぱい、 ありがとう と笑いました あの人はただそれだけのやり取り後、 もう大丈夫だから と、涙を堪えた顔で必死に言ってくれました。 だからお願い (いつか私の元へ来る時は、どうか笑顔で) 日常より再録 修正101004 [*前へ][次へ#] |