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短編
真になる夢(紅勾)

※現パロ、軽く昌勾










それは突然だった。





「紅蓮、」

「なんだ?昌浩?それに勾まで…」

「えっと、あのね…」

「私と昌浩は付き合うことにしたんだ。それをお前に一番に報告しようと二人で決めてな」





「…は?」


「お、俺、勾陣に比べたらすっごく頼りないけどこれから頑張るつもりなんだ!だから、紅蓮に一番に言おうと思って…」

「そんなことはないぞ昌浩。私はお前を頼りにしている」

「ありがとう、勾陣」

「ま、そういう訳だ…騰蛇、今から昌浩と出かけて来る」

「行ってくるね」


「え、ああ…ってちょっと待て!昌浩!勾!」


紅蓮の声が聞こえないのか、二人はどんどん遠くへ行ってしまう。
自分の手の届かないところへと…









「勾!!痛っ!」

「寝ながら人の名を連呼するとは何事だ、騰蛇」


「あ……?夢、か…」


よく見るとそこは居間で、紅蓮は自分が床で寝てしまっている事に気がついた。



「寝言がころころ変わっていってたが、一体どんな夢を見ていたか説明してもらおうか?」


勾陣の鋭い視線が紅蓮を射抜く。
どうやら逃げられない様子である。



「っ……お前が、」

「私が、なんだ?」

「昌浩と付き合うと言って、二人で俺から離れていっていまう夢、だ…」



「なんだそれは」

「いや、なんだと言われても…」

「そんな夢を見ていたから、あんな間の抜けた寝言を言っていたのかお前は」

「寝言に関しては分からんが…勾、お前もうちょっと俺をそんな事はないぐらいな事言って慰めるとかないのか」

「じゃあ聞くが、お前は私がそう言ったとして素直に慰められるのか?」

「…いや、」


多分、騙されているのではないかと疑う方が先だろう。


「…なんだか私に対して失礼な考えを持っただろう、お前」

「そ、そんなことは…」



そこまで言うと、ドアがガチャっと開き学校から帰ってきた昌浩が顔を出した。


「ただいまーって、紅蓮に勾陣?どうしたの?」

「いや、別に「何でもないよ…そうだ昌浩、今度辞書を買うとかこの前言ってなかったか?」

「あ!忘れてた!そういえば明日使うんだよ!!」


うわーどうしよう…と考え始めた昌浩に視線を向けながら紅蓮は、話題が上手くそれて助かった…
と思った。



その瞬間、



「昌浩、何なら今から私と本屋に行くか?」

「えっ、いいの?勾陳?」

「ああ、私も丁度読みたい本があってな…行くか?」

「うん、ちょっと待ってて!すぐ用意する!」



と、紅蓮が口を挟む間もなく二人の間でこんなやり取りが飛び交った。

静かになった部屋で紅蓮が恐る恐る勾陳に声をかける。


「おい、勾…」

「なんだ」

「怒ってるだろ…?」

「別に…慰められる時に疑わなければならないような彼女で悪かったな」

「いや、別に俺は…」



これはまずい
と思いながら、紅蓮が言葉を続けようとしたところに、丁度支度を終えた昌浩がやって来た。



「勾陳、お待たせ!」

「ああ、じゃあ行くか…昌浩、他に行きたい所があったらついでに連れてってやるから考えておくといい」

「え、でも帰りが遅くなるよ?」

「別に構わないさ。それに、彰子とデートする練習だと思えば楽しいだろう?」

「こ、勾陳!」

「ま、そういう訳だ…騰蛇、出かけて来るからな」

「行ってくるね」


「え、ああ…ってちょっと待て!昌浩!勾!」




夢で見た内容とほぼ同じ展開に、紅蓮は慌てて二人を止めようとしたが、二人はもう外へ出てしまった。



「酷い正夢だ…」


と、紅蓮は一人呟き、勾陳が帰って来たら全力で謝ろうと心に誓った。






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