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短編
嘘の日と告白(紅勾)


※現パロ










「勾、お前のことが好きだ」




さっきまで隣に座っていた騰蛇が急に真面目な顔をして言った。


私は読んでいた文庫本を落としそうになったが、壁に掛けてあったカレンダーを見て納得した。



4月1日、エイプリルフール


しまった、先手を取られてしまったか…

毎年騰蛇はこの日の事をすっかり忘れて私の嘘に引っ掛かっていたが、今年はちゃんと覚えていたようだ。


それにしてもこんな嘘をつくとは騰蛇も質が悪くなったものだ。
一体誰の影響かは知らないが、ここは私もそれなりに返さないといけないな…




今日が4月1日じゃなけばよかった、

なんて、一瞬浮かんだ思いを打ち消して私は騰蛇に向き直った。




「私もお前のことが好きだよ…騰蛇」

「…本当、か?」

「え?」



私が言った言葉に騰蛇は驚きを隠さない。


何なんだ、先に言ったのはお前だろう?


だから私もそう返したのに、



…もしかして、こいつ…



「いや、いつもいつも質が悪いからかいばっか仕掛けて俺で遊んでるもんだと思ってたからつい、な…」

「失礼な、というかちょっと待て騰蛇」

「なんだ?」

「お前、今日が何の日か知ってるのか…?」









「え…4月、1日ぃぃぃ!!?」

「…たわけ、お前は本当に、どうしようもないたわけだ!」

「す、すまない勾!」



カレンダーを見て自分の失態に気付いた騰蛇は顔を蒼くしそれはそれは物凄い勢いで謝ってきた。



「本当にすまない…でもあれは俺の本当の気持ちなんだ…日が悪くて誤解させてしまったが…」

「全くだ」

「…というか勾、お前は今日がエイプリルフールだと知ってたんだよな…?」

「まぁ、お前があんな事を突然言ったから思い出しただけだが…」

「じゃあ、あの返事は嘘、か?」

「………………」

「勾?」

「はぁ…まったく、お前という奴は…」


そこまで言って私は近くにあったメモ用紙とボールペンで一言書いて騰蛇に渡した。


「期限は3日以内。これが出来たら私の“本当の”返事を言おう」

「え…って!ちょっと待て!いきなりハードル高すぎだ!」

「そうか、だったら私の返事はあきらめて一生片想いしていろ」

「うっ…せめて1週間!」

「遅れた分だけ更にハードルを上げるぞ」

「こっの!惚れた弱みに付け込みやがって…」

「なんだ、自覚はあったのか」

「っ、楽しみに待ってろ…絶対惚れ直させてやる!」

「私はまだ惚れたとは言ってないぞ、騰蛇よ」

「あーもううるさい、とにかく待ってろ!」


やけくそのように言い残し騰蛇は出かけて行った。



そしてその場にはさっきのメモが一枚


私はそれを拾い、我ながら無茶な注文をしてしまったか?と考える。

まぁ、自分で駄目なら誰かにアドバイスを貰うだろう…多分、六合あたりから…

そう考えるとあいつが何処に出かけたかまで分かってしまって面白かった。




(宿題、私が気に入るような告白の言葉を考えて来ること)



さて、あいつの告白に相応しい返事を私も考えておこうか…









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