小噺 おサボリのススメ(島迅/大学生パロ) ーたまにはこんな日も、いいんじゃない?ー 「じゃあ今日はここまで」 教授の言葉と同時にチャイムの音が響く。 ほぼ満室だった教室はあっという間に静かになり、高校とは違う長い長い授業をようやく終えた迅はため息をついた。 まだ慣れない大学の授業、それでも「受験」という概念がないからなのだろうか、既に机に突っ伏して寝ている人も多々あったが、真面目な迅は毎時間ごとの強烈な睡魔に耐えていた。 そんな彼なのだからため息が漏れるのも当然だろう。 (あ、メール来てる) ボーっとしながらもチカチカと点滅している携帯に気づき、ポケットから取り出して眠い目を擦りながら受け取ったメールを確認する。 (…!!) 送り主の名前とその内容を一目見た瞬間にそれまでの眠気はどこかへ飛んでいき、広げたままの教科書とノートを無造作に鞄に入れて、急ぎ足で教室を後にした。 落ち着きなく階段を駆け下りて辺りを見回す。途中ですれ違った学生達の少し驚いたような視線を背に受けながら、迅はメールに書いてあった場所へ向かう。 7号館の目の前に立っている大きな木の下に設置されているベンチ。 日差しが眩しくなってきた今の季節には多くの学生がそこを憩いの場にする。 グループやカップルが座るのがほとんどのその場所で、携帯を片手に座っているのが一人。 明るい髪色と、大学生になっても男女問わず人気で色々な人に声を掛けられているのが目立つその人を見つけ、迅はすぐさま駆け寄る。 「慎吾さん!!」 迅がその名前を呼ぶと、遠くであったにも関わらず慎吾はすぐに声のした方向を振り向き、迅を見つけると締まりのない笑みを見せてヒラヒラと手を振った。 「すみません!!待ちました??」 「いや、全然?とりあえず行くか」 2人の通う大学のキャンパスは広い。 なので、昼食を取る場所を見つけるのは結構簡単だ。 最初は学生食堂を利用していたのだが、あまりの混雑具合に迅も慎吾も落ち着けないと参ってしまった。 なので今では購買などで適当な物を手に入れて、そういった場所で2人だけの時間を過ごすのが日課となっている。 「…で、教授の言ってる意味がわかんなくてー」 「あー俺ん時も何言ってっかワケわかんなかったもんなぁ」 パンやらおにぎりやらを片手に、大学生らしく講義の話なんかをしたりして。 「…だから今すっげ、眠いっす…」 (もうちょっと気楽に大学生活すりゃあいいのに、相変わらずだなー) 慎吾は、期末にレポートを書くだけだぞ、と言ったような講義にも律儀に全部出席しているらしく、その疲れでウトウトしている後輩に感心しつつもそんな事を思ってしまう。 かといって迅から進んで授業欠席なんてするはずはない。 …と、いうワケで。 「あ、そろそろ昼休み終わりますね」 「そうだねぇ」 「次は9号館だったかな…」 「そうなんだー」 「………慎吾さん」 「んー?」 気の抜けた返事とは正反対に、後ろからしっかりと迅を抱き締めて、離れてあげようとしない。 「オレ、講義に…」 「大丈夫だよ、次の講義は俺去年受けたし。過去問持ってっから」 「それこの前も言ってっ…」 振り返った迅が全てを言う前に、その唇は慎吾によって塞がれた。 「…一時間ぐらい、いいだろ?」 絡んだ腕が、視線が離れない。ゆっくりと唇を離したあとに耳元でこう囁かれては、迅に抵抗権などない。 迅は慎吾に履修の相談をした事を少し後悔した。 自分の予定を全て把握されては、言い訳も作れない。 おまけに慎吾は1、2年で要領良く単位を取っている為に、現在講義の一つ一つは内容的に難しいものの時間割は比較的楽なのだ。 おそらく次の一時間は彼にとっては暇な一時間、だと思われる。 「な?」 「ーずるいっすよ、慎吾さん」 ふぃっとそっぽを向いて 一時間だけ、ですから 前を向いたまま、小さな声でそう言って。 見えなくても耳まで真っ赤にしたその表情が簡単に想像できて、あまりの可愛らしさに慎吾はもう一回、ぎゅーっと迅を抱き締めた。 ーんで、そのあとは一緒に帰ろうな? end. ぇ?もしかして417&1000hitのつもり? …そうです、そうでした;; 遅れてごめんなさい!! やってしまった、大学生島迅…!! 違う大学な設定も良かったのですが、一緒だったらヤバいな…イチャイチャに持ってこいだぜ!!!!という私の独断により今回は一緒の大学でらぶらぶさせてみました^ρ^ いつも割と暗いお話ばっかりだったので、書いててすごく楽しかったですー!! 大学生シリーズはまたやりたいなぁ^^ 読んで下さった方、ありがとうございましたっ!! [*前へ][次へ#] |