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小噺
/3





『なァ』



行きの時と同じように、半歩先を行く背中を呼び止める。


浮かんだ疑問をそのまま田島に聞いてみる。



『何であんな遅い時間に来たンだよ』


『だって部活あんじゃん』


歩みを止めるでもなく、間髪入れずに田島は応える


それはそうだけどさ。

でももっとあんだろ、
オフの日だって。


そんな感じの言葉を返せば

『昨日じゃないと
ダメだったんだよ!ゲンミツに』

ってお言葉。



昨日、って言われても
イマイチぴんとこない。
満月?いや関係ねーか。




『何で昨日なんだよ』


『俺の15歳最後の日だったから』



『は』



言葉の意味を解読出来ずに
一瞬脳がフリーズする。



最後の、日?


何が?15歳?










それって つまり







『…………誕生、日?』


『おー!』



正確には今日だけどな!と田島は言う。




余計話がわからなくなった気がする…。



『いやだから何でだよ。』

『何がだよ』



歩き出した田島の背中に問いかける。


田島はといえば、
もう何もかも解決!みたいな顔してて、
ちょっとムカついた。

あの、俺は何も解決してないんだけど。




『何で15歳最後の日に

言う必要があンだよ』




そう聞けば、




『昨日じゃなくてもよかったんだ、

ゲンミツには』




って。




オマエさっき


昨日じゃなきゃ

ダメなんだゲンミツに


とか言ってなかったか…





どんどん話がこじれてく俺をよそに、
何やら田島は言いにくそうにもごもごしている。




『…15歳の内なら、本当はいつでも…』


『え?何?』


『15歳の内ならいつでも良かったんだよ!』


言い切る田島の顔は
心なしか赤い。


ちょっと待て、
それは何による赤面なんだ?


畳み掛けるように聞こうとした俺を遮って田島は歩き出す。



でもそれに甘んじてられない。
俺だって気になるもんは気になる。



『何で15歳なんだよ!』



言外にいつでもいいだろってニュアンスを込めて言葉を投げ掛ける。


そうしたら少し前を行く田島が
振り返って、
ハッキリ言った。




『ケジメだよ』



その年のことはその年の内に片付けたいんだよと、

けどそこに中々言い出せなかったんだ、
という空気を滲ませて、

恥ずかしそうに告げる田島に
開いた口が塞がらない。




コイツ、そんなこと考えてたのか。




俺にそれ言うだけの為に今日(正確には昨日だけど)来たってワケ?



そう思うと


何だか無性に田島が可愛くて


俺は浮かんでくる笑いを堪えることが出来なかった。



『ふっ……くく…』


『ちょ、花井!!何笑ってンだよ!!!』


気付いた田島が声をかけてくる。


悔しい俺はそれを田島に教えてやらない。



『何でもねーよ』


『何だよ気になるじゃん!!』

ぎゃーぎゃー騒ぐ田島を見てると余計に笑いが込み上げてきて、
思わず俺は声をあげて笑った。


それで、
その勢いのまま、お返しに俺からも
『ありがとう』
って言ったら、


田島は顔を真っ赤にして、丸い瞳を更に真ん丸にした。



その顔があんまり面白くて、


またしても俺は笑いの発作に襲われるのだった。





『よし、家まで競争な』


そう言って先に走り出した俺の背中に
田島の非難めいた声がかかる。


先に走り出したとはいえ、足の速い彼のことだからすぐに追い付くだろう。


そうして彼が隣に来たら、
さっき言いそびれた
『おめでとう』を言おう。


彼がどんな顔をするか考えると、
また込み上げそうになるものを押し込めて


少しでもそれを先伸ばしにするように走る速度を上げた。







心拍 上昇


気分 良好


満月は相変わらず煌々。




明日からは前よりも円い気持ちで、彼に接することが出来そうだと思った。












………ひ、酷い遅さですみませ…orz


本当にもう何もかもに頭があがりません…。


田島にも(人に対して)躊躇うことがあるのを花井が知るってのがテーマでした(長い)


あと、田島様のバースデーが満月ちっくだったので………





すっかり過ぎてしまいましたけれど…平伏!!!!




やはり長すぎる為に見えない機種が出るみたいでわけました…葎ちゃん連絡ありがとう!!



最後まで付き合って下さった方にただただ多謝…!!!!アイラブユー!!!!!!






08,10,27

葦月

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