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華を咲かせよう
2.杏とつくるSS



(まだ兄弟3人で暮らしていた頃の話)


「杏ちゃーーんうぅー!」

と、俺が縁側で座っていたら
兄とは思えない容姿をした兄が泣きそうな声を響かせながら走ってきた。

「うるせぇー、どうしたつくる」

顔だけつくるの方に向けると
走ってきた勢いが止まらずそのまま
俺と激突。

「うっ!」 「痛っ!」

と、2人して悶絶。
つくるより早く悶絶から抜け出し、
俺と激突したことによって赤くなった額をなるべく優しく触る。
痕にでもなったら、大変だ。
それに、ブラコン兄貴がうぜぇ。

「うぅ〜痛い……」

「つくる、俺も痛い。
これからは走ってくるな。怪我するぞ」

「ごめんね…杏ちゃん…」

しょんぼりしながら謝るつくる。

たまに…いや、週に7回程
本当にこいつが兄なのかと考えてしまう。

背も俺より小さいし、
顔もその辺の女よりも可愛い顔してる。
だから、女と間違われてナンパされんだよな、たっく目が離せねぇ。

「う?杏ちゃん、まだ痛い??
ごめんね、僕のせいで…」

俺が何も言わないから
まだ痛がっていると思っていたらしく
しょんぼり顔から泣きそうな顔していた。

「もう痛くねぇよ。
つくるより俺は頑丈だからな。
だから泣くな、一応俺より年上なんだろ?」

と、俺はつくるの額にデコピンを
しながら言った。
あっ、さっきこいつが額を痛めてたの忘れた……。

「なぁ!泣きそうじゃないもんっ!
あれだよ、杏ちゃんが泣きそうだからもらい泣きだよ!」

と、つくるは目をキョロキョロさせながら
弁解していた。もらい泣きも何も俺、泣いてねぇけどな。まぁ、ここか可愛い兄を立たせてやるか。

「はいはい、もらい泣きね。
流石、つくる強いなぁ(棒)」

「杏ちゃん、心がこもってないよ…??」

「当たり前だろ?
つくるは泣き虫って俺知ってるから
嘘ついてるってバレバレ」

立たせてやるかとか言ったけど、
あれは嘘。
つくるをからかうのは最高に面白いし。

「泣き虫じゃないもん

あっ、いいこと思いついた。

「じゃあ、もし虫がいても
追っ払ってやらねぇぞ?」

「えっ!?」

「ついでに、雷が鳴っても一緒に寝ない」

「ふぇ

「ってことでお兄ちゃんがんば」

つくるはあたふたしながらも
俺の服の裾を握りしめている。
こういうとこが可愛いんだけど。

「杏ちゃん……やだよぉ…」

「ん?何を?」

俺ってこういう時は本当Sだよな。
自分で言っちゃうけど。

「うぅ、虫も追っ払って欲しいし、
雷の時は一緒に寝て欲しい……です」

「ん?それを言う前に
俺に言うことをあるだろ?」

「うぅ〜…杏ちゃん意地悪…」

「じゃあ、これからはお兄ちゃん1人で
頑張れ」

俺が席を立とうとすると

「だめっ!」

と、つくるが裾から手を離し
代わりに俺を抱きしめてくる。

まぁ、腕が短いからしがみついてるって感じだけど。

「つくる、離れろ」

「やだ……杏ちゃん行っちゃうもん…」

なんか、カレカノみたいなんだけど?

「邪魔なんだけど?俺を怒らせたいの?」

「怒らせたくない」

「じゃあ、離れろ」

「やだぁ……」

ヤバイ、ガチでつくる泣きそう。
泣き顔も好きだから別にいいけど…。
それに俺のために泣いてるしね。

「ふーん」

泣きそうでもいじめるのはやめない。
だって、ここからのつくるが一番可愛いくなる。

「…………ね」

ぼそりとつくるが何か言った。

「つくる、はっきり言ってくんない?」

「泣き虫じゃないって嘘ついて
ごめんね……」

ギュッと顔を俺の腹に押し付け、
呟くつくる。

満点。

別に嘘ついたことを謝ってほしかった
わけじゃないけど、ただいっときでもつくるの頭の中が俺で一杯になってほしかっただけ。

「しょうがねぇから、許してやる」

「杏ちゃん……」

「何?」

「頭撫でてくれると嬉しい…です」

「甘えん坊め。
優しい弟がしょうがねぇから、撫でてやるよ」

さっきは散々いじめたから、
今からは思いっきり甘やかしてやろう。


ブラコン兄貴がいねぇ今。

2人きりの時間を楽しもう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今回は本編だと登場するのが
当分先になりそうな杏を
テーマにしました。

杏は生意気な奴ですが、
つくるの前で違う意味で生意気w

ありますよね、
好きな子の前だと意地悪する系男子w
杏もそんな感じですww
アメとムチを上手く使い分けてますねww


作者より






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あきゅろす。
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