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華を咲かせよう
1.お礼と謝罪


真っ暗だった。
しかも、クラシックのような音楽が流れてる。なぜなら、凪ちゃんが目も耳も塞いだから。

だから、今僕の目の前で何が起きてるか、何を言っているのかは僕には何にも分からない。

多分は凪ちゃんは、
今からやることを隠したかったんじゃないかな…と、僕は思う。
だって、やり方が終兄や杏ちゃんに似てるから。

終兄たちも僕が知らないとこで危ない事をしてるのは知ってる。でも、何してたの?と聞いてもはぐらかせたりして教えてくれない。

一回だけ僕は

『除け者にするなんて酷いよっ!
終兄も杏ちゃんも大っ嫌い!!』

と、言ってしまった。

終兄たちは凄く泣きそうな顔をして

『ごめんな?でも、言えないんだ』

と、僕に謝った。
その時の顔がどうしても忘れられなくて、
その日の夜は枕をびちょびちょにするほど泣いた。

あの日から僕は終兄たちに
酷いよとか嫌いとは言っていない。
除け者にされたことが寂しかったから
つい嫌いと言ってしまったけど、終兄たちにあんな顔はさせたくない。

今回の凪ちゃんの行為も
僕のためだと思う。

僕だけ除け者にされてるけど、
きっと理由があるから。
だから、酷いとか嫌いとかは言わない。

それにクラシックの
音楽で微かに聞こえた

『ごめんね』

の一言。

そんなこと言われたら怒れないよ。

でも、つい意地悪でぐーで殴るよ
とか言ったけどそんな気は更々ない。


これが終わったらきっと凪ちゃんは
また謝るだろう。
泣きそうな顔をしながら。

かなくんやひーくん、千くんも
僕があの時怒ってたから困った顔で
謝るだろう。でも、千くんは笑ってそうだな…。

そんな4人に一番の笑顔を見せて、

「ありがとう、ごめんね」

と、言おう。

助けてくれたお礼と困らせた謝罪。

皆の泣きそうな顔や困った顔は
見たくないもん………。



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あきゅろす。
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