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キセキの世代と過ごす日々
キセキの世代と出会いました。
俺はバスケが好きだ……なのになんで帝光中には行きたくないなんて思うんだろう……あそこはバスケの超強豪校だっていうのに…いつもの俺なら絶対……


帝光中学校男子バスケットボール部
部員数は100を超え全中3連覇を誇る超強豪校
その輝かしい歴史の中でも特に「最強」と呼ばれ無敗を誇った―
10年に一人の天才が5人同時にいた世代は「キセキの世代」と言われている
――が「キセキの世代」には奇妙な噂があった
誰も知らない試合記録も無い
にも関わらず天才5人が一目置いていた選手がもう一人――幻の6人目(シックスマン)がいた――と
だがこの6人と同じ才能を持った天才がもう一人現れることになる。


「なー緑川、今日の放課後カラオケ行こうぜ」


どーせまた合コンだろうものに誘ってくるクラスメート。


(ちょーどうでもいいんだけど)


「ごめん、今日は帝光中に行こうと思ってるんだ」


「帝光中?あーそういえば緑川、バスケ好きだったけ?」


「うん、見学にでも行こうと思ってね」

まぁ、今は猫かぶりモードで話してるから口には出さないが正直うざい。
早くどっか行けよ。

(ヤバい…本音すぐ出そう…)



イライラをこらえつつ、クラスメートと会話を続ける。


「そっか、じゃあまた暇なとき行こうな」


「うん、じゃあ俺そろそろ行くね」


「ああ、じゃあな〜」


ニコニコしながら、手を振った。


「マジうざい」


居なくなった瞬間本音出ました。

どんだけストレスだったんだろうな。


(えっとー、帝光中は…こっちか)


とりあえず、キセキの世代がどれだけ凄いか見に行かないと……な。


帝光中では…


「よし、今日の練習メニューは…外周10周と後はいつも通りの組み合わせで練習試合だ。」


帝光中バスケットボール部キャプテンである赤司征十郎が、皆に向けて指示を出す。


「赤ちーん、今日は個人の練習メニューなし〜?」

間延びした声で紫原敦は尋ねる。

「ああ、今日はないよ、誰かが来そうな気がするんだ」


「誰かって〜?」


「僕達キセキの世代と同じ才能を持つ者が…ね」


何かを企むような口調で話した。


「ふーん、でも俺達みたいな才能のある人なんているの〜?」


そんな話をしていると後ろから第三者の声が聞こえてきた。

「赤司の言っていることはほぼ間違いないのだよ」


そう紫原に反論するのは緑間真太郎だった。


「真太郎が僕の言葉に同意見を持つとはね……理由を教えて貰おうか」


赤司が楽しそうに笑う。

「いいだろう、教えてやろう」


そういうと、緑間は右手でメガネをかけ直すと再び口を開いた。


「理由など簡単だ。今日のおは朝占いで蟹座は3位。ラッキーアイテムはうさぎのストラップ。ラッキーアイテムを身につけていれば運命を変えるほどの出会いがあるとおは朝占いでやっていたのだよ」


緑間の言葉を聞いた赤司はクスッと笑う。


「真太郎らしい答えだな。よし、そろそろ練習に戻るぞ!」

赤司の一言で皆が練習に戻った。


帝光中周辺では…


「あーもう!どうなってんだよ帝光中!行き道は迷うし、ナンパはされるし…ハァ…マジありえねー」


俺はグチグチと文句を言いながら、帝光中へと入って行った。


(えっとー…体育館はーっと)


とりあえず、そこらへんをふらついていると体育館らしき建物が見えてきた。


(あっ…あれかな…?)


体育館だったらしく中からはバッシュのキュッキュッという音が聞こえてきた。

しゃがみつつ、窓から中を覗き込む。


「練習は真面目にやってんだなー」


中では練習試合が行われていた。


「キセキの世代ってどいつらだ?」


俺はあたりを見まわしてキセキの世代を探していると、突然後ろから声が聞こえた。


「あのー…体育館に何か用事があるんですか?」


声が聞こえた方へ振り向くと誰もいない。


怖くなった俺はキョロキョロとあたりを見まわした。


「えっ?えっ?何今の幻聴?」


「幻聴じゃありませんよ。こっちです。」


声が聞いた俺は声のした方へおそるおそる振り向く。


するとそこにはスカイブルー色の髪をした影の薄い少年が立っていた。


「えっ…ぎゃああああああああ」


いきなり目の前に現れた少年を見て俺は大声で叫んだ。


「テツヤ、誰かいるのか?」


すると中から叫び声を聞いた赤司が声をかける。


「あの…大丈夫ですか?」


びっくりしてしゃがみ込んでいた俺に少年は手を差し出した。


俺はその手を握り、少年に立たせてもらった。


「ありがとう…えっとー、君だれ?」


「黒子テツヤです。帝光中バスケ部一軍レギュラーです。」

黒子は丁寧に自己紹介をした。

(へー…レギュラーねー……って)


「レギュラー!?」

「はい」


『レギュラー』って…まぁ試合では活躍する的なタイプだろうなこいつは。


「なんだ、なんだ、どうしたんだ?」


「なんスか、誰か来てるんスか?」


「なになに〜どーしたのー?」


「何かあったのか?」


背の高い4人組、青峰大輝、黄瀬涼太、紫原敦、緑間真太郎がゾロゾロと俺の元へ集まる。


(うわ〜早速バレた…コソコソしてると怪しいけどさ〜……バレると思ってなかったし…どうしよう…)


「で、緑ヶ丘の生徒会長さんが何で帝光中バスケ部に?」


赤司の問いかけにびっくりしつつ、何か企んでいるんじゃないかと感じ取った。

「いや…あの……バスケが好きだからキセキの世代の実力が気になっただけ……です」


(間違ってはない…はず)


そう思いつつ、相手の返答を待つ。


「そうだったのか、じゃあ見学していくといい。僕は赤司征十郎。帝光中バスケ部キャプテンを務めている。」


丁寧な自己紹介にちょっと戸惑いつつ自分もと口を開く。


「えっと、俺は緑ヶ丘中生徒会長の緑川リュウジです。バスケは好きだけどキセキの世代については何も知りません」


丁寧(↑丁寧なのか?)な自己紹介を仕返す。


(てか中学二年の身長か…あれ……)


なんか気にすると自分が悲しくなってくる…


「リュウジか…まぁ入ってくれ」


言われた通り中に入る。


キセキの世代と思われる六人が俺の周り集まっていた。


「では、涼太から順に自己紹介しろ。話はそれからだ」


涼太と呼ばれた男はどこかで見た気がする人物だった。だが、運悪く思い出せない。


「俺は黄瀬涼太ッス!よろしく、緑川くん」


「俺は青峰大輝だ。よろしく、リュウジ」


「俺は緑間真太郎だ。バスケ部の副キャプテンを務めている。」


「俺は〜紫原敦だよ〜。よろしくね〜リュウチン〜。」


自己紹介を終えると赤司がニヤっと笑う。


「僕を合わせた5人がキセキの世代だよ。ちなみにテツヤはキセキの世代でなく幻のシックスマンと呼ばれている。」


丁寧な説明ありがとうございます。


あの5人か…キセキの世代ってやつは。

「あのー…キセキの世代の中で俺と1on1してくれる人いませんかね」


勝てる自信がないくせにいきなり無謀な提案。


(バカか俺は。)


「…勝てる自信は?」


赤司が薄ら笑いを浮かべながら問いかける。


多分バレてる…。


とゆーか読心術使えてるだろお前!


「全くありませんけど」


正直に答えちゃうのが俺です。


赤司はクスッと笑い、黄瀬の方を見る。

「涼太、相手してやれ」


黄瀬はびっくりしつつ、ニヤっと笑った。


「どうなっても知らないッスよ」


「俺的にはもう、どうにでもなれって感じなんですけど」


俺って意外とヘタレなのかも。


「よし、皆一旦集合だ。涼太とリュウジが1on1をする」


なんでそんなことのためにコートあけてんだよ。


あけなきゃ出来ないけどさー

「じゃあ、俺がディフェンスやるんで緑川くんはオフェンスやって下さいッス」

「まぁ、いいよ」


オフェンスの方が得意だから好都合だけど…。


ヒソヒソとバスケ部の人達の声が聞こえてきた。


「えっ!黄瀬と1on1って…正気か?あんな可愛い子がケガしたら大変だぞ」


「身長差もあるし、これは黄瀬の勝ちだな」


ブチッ


可愛い?身長差がある?言いたい放題だな。
因みに俺は可愛い、小さい、身長差などと言われるとクラッチタイムになる。(自分が認めた人、親しい人以外だが)


「おい、さっきから可愛いとか身長差があるとかふざけたこと言ってんじゃねーぞ!この1on1ぜってー黄瀬に勝ってやるからな!」


まさかの勝利宣言。

まぁ、クラッチタイム状態なら勝てそうだな。


「よし、じゃあ始めるぞ!よーい」


ピー(笛の音)


ホイッスルの音ともにスタート。


黄瀬のブロック強そうだけど、俺が得意なのは一瞬だけ気を逸らすドライブ。


成功率は確実。


ここは左…いや、右だ…!


黄瀬は反応したが俺は意外とすばしっこいため、黄瀬をギリギリの所で抜くことが出来た。


そして、最後は得意のダンクシュート。

とりあえず、宣言通り黄瀬に勝った。


「緑っち…強いッスね」


「そりゃドーモ。てか『緑っち』って何?」


「俺、尊敬する人には『〜っち』って付けるんスよ」


尊敬ねぇ…てか俺までバスケはここではもう終わりだよ?緑ヶ丘来れば会えるけど、多分人前でバスケすんのこれで最後だよ。


「へー、でもまた会えるとは限らないよ」


「会うどころか毎日僕達とバスケをやる…それが君の未来だよ」


「俺の未来……か。でもここでバスケするのは悪くねぇな」

自分の本音をキッパリと皆に言う。


「そうか。では帝光中バスケ部に来ないか?転入手続きなら僕が済ませてやる」

赤司の言葉に俺は少し戸惑ったがすぐにニコッと笑いながら言った。


「うん!じゃあ俺、帝光中に通うことにする!」


多分生きてきた人生で一番笑えてたと思う。


ここから、キセキの世代の歴史が刻まれる――――

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あきゅろす。
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