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学校の廊下の奥に見つけたシェリルさんはいつもとは違い、私服に身を包んでいた。
白いシンプルなワンピースはイメージとすこし違うけどシェリルさんは素敵に着こなしていて良いもの見ちゃったな、なんて思った。

声を掛けようか迷っていたら、こっちに真っすぐ歩いてきたから思わずきょろきょろと見回しているってバレないくらいに辺りを確認、私しか居ないよ、うわあうわあ。

「今帰りなの?」
「あ、はいっ」
「そうなんだ。
ホワイトデーのクッキー、スタッフに配った余りだけどランカちゃんにもあげるわ。じゃあね、」

紙袋から取り出された赤い色の特殊な加工がされた包装紙で包まれた四角い箱は金の刺繍入りのリボンが掛けられていて、少し見ただけで高そうな品だと分かる。
嬉しい、嬉しいけれど…もしシェリルさんと出会う前ならきっともっと本当に嬉しくて、食べようか食べまいかずーっと悩んで見るたびにしあわせになっちゃうかもしれないけど。

「ありがとうございます、」

すぐに行ってしまったから背中にお礼を言うと、シェリルさんは私が歩いて来た方に歩きながらひらひらと手を振ってくれた。先には教室があるし、まだみんな残っていたからきっと紙袋の中身はみんなにも配るんだろう。


特別扱いされてみたいなんて、わたしはいつからそんなに欲張りになっちゃったんだろう。

バレンタインにチョコレートも渡せなかったのに… シェリルさんは、なんてことなくわたしに… ああ、もう。


「浮かない顔だ。どうした、ランカ」

不意に声を掛けられると、ブレラさんが目の前に居た。

「ブレラさん!
今日は何か学校に用でもあったんですか?」
「まぁそんなところだ。それで、悩みでもあるのか?」

ちょっと話しを逸らしてみようかと思ったけど、やっぱりそんなのブレラさんには通用しそうにない。

「あー… 好きな人に、その。特別扱いとか、されてみたくって」
「そうか、」
「でも、あの、」
「誰でも思うことじゃないか?
大切なことは、それを実現するにはどうしたら良いか考えることだ」

普段よりすこしやさしい顔をしたブレラさんに頭を撫でるようにぽんぽんとされたら、なんだか心がほかほか暖かくなった気がした。
そうだ、きっかけはシェリルさんがくれたんだから…わたしが頑張れば良いんだよね。


「わたし、頑張ります!」
「そうか」


まずはお返しをなににしようか考えることから始めてみよう!






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