滅ぼしても
人間でしかない。所詮、そういうものでしょう。私の心がキリキリとした痛みに耐えられずに涙混じりに呟いた
(私はそうだねと笑ったことを思い出した)
すると心はもう何も言わずに、ただしとしとと泣き続ける。ふと思い出したのは、寂しそうな視線を送り続けるように枯れた花
「今日は、」
先生が、可愛らしい鼠を手に開口する。淡々と話し続ける先生の手はじわじわと力を込めていて
「こうやって鼠を1匹殺すこと」
じたばたと暴れていた鼠がクタリ、と動かなくなる。出来ない出来ない出来ない出来ないデキナイ
「これぐらい出来なきゃ人間なんか殺せねぇよな」
ははっ、とかすれた笑いを響かせた後に自分の手の中で鼠を殺した前の席の男の子を筆頭に、みんなが恐る恐る、でも確実に殺していく。私の前で動き回っていた鼠は殺気に満ちていく教室に涙を浮かべているようにうずくまってしまった
忍は人を殺さねばならない
感情を殺さねばならない。その訓練は、人を殺してみなければ分からないことを人を殺さずにやるという。誰かを護る為に誰かを殺さねばならないのがこの世界であるのは承知している。もし、無力な人間は護られることを願うのではなく殺人を願うというなら。もし、少しでも抗う力を持つ人間が殺すことを思い出したなら
「名前、何をしている」
目の前で怯えていた鼠を火遁で燃やした先生や、この部屋にいるみんなを
滅ぼすことは
(正義となるのやもしれない、と思うことにした)
こういう思想を持った子が同朋殺しをするのでは、というお話
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