重い罪に見合う憎悪 イタチ
前に、一度だけ
“覚悟はあるのか”
神妙な面持ちで言うものだから、私は思わず笑ってしまった。だけどどこかで、私は分かっていた。気付いていた。それでも笑った
“死ぬことは生きることの延長だから”
だから覚悟することすらない、と確かそんなことを言った覚えがある。本当に生と死が等価値なのだとしたら、この世はとてもつまらない
「名前」
「あの時も今も…私、嘘なんかついてない。だってね、だって」
近付いてくる。死だ。死の匂いがする。呼吸が乱れる。うまくいかない。何もかも、うまく伝えられない
(怖いよ)
ぽろぽろと、涙が出る。戦う意志も気力もないのにただぽろぽろと、涙だけが。何故だか、無性に怖い
「俺を見ろ」
「イタチ、私ね。あなたを待っているから」
ずっと、こっちに来るまで待ってるから。永遠のような時間でも、待ち続けて
「そしたら今度は」
重い罪に見合う憎悪
(あなたを恐怖に陥れてやるから)(死よりももっと先で)
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