知ったふう キバ
なぜこんなに溢れているんだろう。形容し難い想いが四方八方に散らばって反射してぐちゃぐちゃ、に荒い線を残して飛び交う。ねぇ、ねぇねぇ。そこは踏んじゃ駄目だから、その足をどけてくれないかな。土足で、踏み入ってくるんじゃねぇって言ってるの。意味、分かるよね
「お前、いい加減にしろよ…なぁ」
荒れた部屋の中に座る私を見下げる彼の表情に感情はない。光も満足に行き届かない部屋。一向に動く気配のない私。安直な言葉を振り落とす彼。あぁ、みんなみんな壊れて消えてしまえばいいのに。どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして私は
「…はは、は」
「名前」
「五月蠅いよキバ」
見上げたらその男は酷く滑稽な顔をしていつぞや私が倒した棚に足を躓かせて、それから転けた
知ったふう
(君にいいことを教えてあげよう)(愛する者は死することを)
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