僕の裏切り サソリ
曖昧にして辛辣な世界。運命と偶像とこの先の命とあの後の一握りの砂漠をさ迷い疲れ果てた僕は、もう誰一人として愛せない。けれど悲しくないよ。辛くもない。そういえば、痛みもないなぁ。僅かだって感じないのは、僕が強くなったからなの？弱くなったからなの？誰かいなきゃ何かなきゃ僕は上か下かも分からない。僕が僕であることなんて分かる筈もないじゃないか。僕を攻めないでよ。何も感じなくたって、干渉を放置する理由はないんだから、そうだな。どうしようかな
殺そうか
(大抵の人はこう言う)
“心を失った”
それでいいと思ったんだ。こんな風になる前はね。僕はそれでいいと信じてこうなった。それが正しかったのかは今となっては分からない。だって何も感じないからね。後悔を感じればそれは正しくないこと。優越を感じればそれは正しいこと
(大抵の人はこう言う)
“あなたは間違ってる”
そうかもしれないなぁ。でも僕にはもう分からないんだ。何も感じない。だからあなたが間違っているかもしれないことも分からない。だとしてね、感じて考えることの出来る、まぁ所謂人間ってやつはね、正誤をきちんと最期まで判断できる能力を持ってるなんて言いきれるのかい？そこの君はどう。正しいこと、正しくないことをちゃんと判断できる？結局、自分の枠からははみ出ないことしか出来ないだろ？言えないだろ？そういうことなんだよ。僕は人間じゃなくとも人間の君と一緒
僕の裏切り
(ただ自分を欺いただけさ)
補足:サソリの心の声。絡繰りの中は幼い頃に壊れた心のまま
←→
[戻る]
無料HPエムペ！
携帯モード]
[
URL送信]
