ほんとのほんと ナルト
勝手に湧き出てくる筈のないものが適当に散らばっている。物心がついた頃にはもうそれは普通で、それに対しては堪らない寂しさを感じたことはなかった。孤独はありふれていたから、一時的なものに視線も心も奪われそうになったけれど、結局はうじうじと元のあるべき自分と同化した。夢をみていたんだと思っていた
(だって現実から逃避することは容易であるから)
手を繋いで去っていく。俺と普通に接してくれるほんの一部の奴らも。人は平等でないって、こういうことなんだっていつだか盗み聞いた言葉を思い知る。一方は夢を見る。一方はその夢をありふれた現実にして踏み荒らす。ほら、今日も誰が置いたのか分からないお金だけが無機質にむき出しになっている。金があれば食べ物は買えるし生きていけるけど
すがりつきたくなるような、こんな情けない気持ちにしないでくれ
(あーあ)
俺に力があればなぁ。この世界を変える力でも、この世界で強くあれる力でも、どっちでもいいから
「…なんちって」
誰もいない夕暮れの帰り道。池の前でしゃがみ込むあいつに聞こえやしないかなぁと呟いてみた
ほんとのほんと
(ただ傍にいてくれる仲間が欲しいよ)
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