取り戻したくて シカマル
もう随分と長い間、忙しく緊迫した日々を過ごしていたから忘れてしまっていたんだ。1番に祝いたい、なんて意気込んでいた自分を懐かしく思ってしまうのは私も年をとったということなのだろうか。あなたの誕生日を過ぎた今になって気付いたのは正にそういうことなのだろうか。だとしたら、悲しい
「名前じゃねぇか」
こんなとこで何してんだ、と普段通りに曖昧な笑みを見せるシカマルの声に私は衝動的に振り返る。何ってここはシカマルの家の前なんだし、待ってたに決まってるのに…なんて言葉も挟まずに私は彼に飛びつくように抱きついた。やはり男なだけあって細身でありながらもその衝撃を受け止めるシカマルにただただしがみつく
「何かあったか」
よしよし、と頭を撫でてくれる彼の声やら伝わる体温やら匂いやらで私はただ涙が出た。こんなにも変わらぬ筈の存在が、私から消えようとしていたなんて
取り戻したくて
(君に会っておきたかった)(誕生日も、おめでとう)
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