抱き締めて シカマル
今までの世界とこれからの世界を分けてみるとして、何が変わらずにあり続けるのかを考えてみる。すると突然に言葉に出来ない寂しさが胸を締め付けてきて、私は立ち止まることしか出来ない。生まれた時から終わりを目指して生きる私たちに何かが与えられていたのなら、私たちはどうしてそれを見つけられないままに永遠を渇望する?そんな不毛な嘆きなどはもう聞き飽きた人間ばかりの世界
「何もかも消えちゃった…」
暁のペインによって無惨な姿となった里を見下げてみる。復興作業に駆り出される前に見ておきたかったのはこの光景、でも何一つとして納得のいく答えはない。木ノ葉の里、って何なんだろう。直向きな悪?善?そんな単純なものじゃないから憎しみは消えず蓄積する。人は死ぬ。それも恐ろしく簡単に。でもそれは生物学上でしかなく、本当の意味で人間が死ぬ瞬間はいつまでも訪れない。それが憎しみ。永遠を信じない癖にそれを永遠だと諦めるのは卑怯だ
「こんなとこで何してんだ?」
「シカマルこそ、」
「ま、お前と似たようなとこだ」
足を骨折したシカマルは歩きにくそうにしながらも私の隣に来て座った。私たちの視線の先には建物はなく、ただ多くの人が歩きせわしなく呼吸をしている
「…あーもう、いっそ全て消えてくれないかな」
「はっ、ガキみてぇなこと言ってんなよ」
分かってる。分かってるよシカマル。だって私たちは生きているんだから
「あのさ、今だけでいいから」
抱き締めて
(そうしてしゃがみ込めば貴方は笑ってた)
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