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崩れ落ちる手 サソリ


記憶の彼方に忘れてきた人の虚像が私を殺す。哀しくも、今日


「随分と大人しいじゃねぇか。あ?」


「死を覚悟した人間を前にしてつまらないことを言うのね」


「はっ…相変わらずつれねぇ女で安心したぜ」


幾度も想いを馳せた人間を前にして激しくなる鼓動を抑えられはしない。けれど、抑えてみせる。この鼓動も体内にじわじわとこもる熱も貴方には伝わらないもの。貴方には何も伝わらない。私が唯一知ってる貴方のことが裏切る筈はない


「あんたと出会った時からずっと感じてた。いつも、何を考えてるのか分からなくて怖いと思ってた。けど、それ以上に分かりたかった……!」


苦しい。でもって自分勝手な想いをぶつけてしまいそうになる。無駄なことだと理解しているのに、あの微笑みが拭えない


「私は、」


言葉を遮られるように心臓を一突きされる。抉られて痛みが全身に広がっていく


「…悪いな。言いてぇことならあの世で聞いてやる」


「っ、サソ…リ……!」


大犯罪者のあんたと私が同じところへ行くわけないのに。あぁ、またその微笑みを私に向ける









崩れ落ちる手
(いつまでもあなたの微笑みだけが拭えないまま)








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あきゅろす。
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