生きろ カカシ
苦しくて、胸が張り裂けそうだなんて言葉でしか表せない感情の複雑な痛みは距離。私とあの人が遠ければ遠い程、その痛みは認識されてしまう。寂しいなんて言葉に価値があるなら大きな声で叫んでやる。だけど言葉には限界がある。例えどんなに叫んでも、泣いてみても、私のこの気持ちは伝わらない
「奥さんと子供残して…何やってんですか」
長期任務から帰って来てみればこれだ。いつの間にか、知り合いの墓が増えている。生きて帰る度のことなのに慣れるなんてことはなくて、ヘラヘラと俺は死なねぇよ、と言っていた人の墓を前にするとどこにやればいいのか分からない怒りとか、憎しみとか、胸を突く悲しみだとかをもてあます
「名前」
真夜中の墓地。名前のチャクラを感じてやってきたカカシが猿飛アスマの墓石の前で立ち竦む彼女の背後から声をかける。名前は振り向いた
「カカシさん、私まだ生きてます。ちゃんと帰ってきてます」
「うん。おかえり」
「アスマさんみたいに、約束なんてしてくれなくていいから。だからカカシさん、」
生きろ
(私にも同じこと言って下さい)
(俺には、言えないよ)
(嘘でもいいのに)
(それ自体が嘘でショ)
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