今はただ シカマル
「俺ぁ酔ってませぇんよ…」
「俺だって!」
「お前らな…っておい、大丈夫か紅」
「えぇ…少し飲み過ぎただけよ」
「よーし!次の店行っちゃうわよーっ!」
イズモとコテツ、アンコが覚束無い足取りで三軒目へと行ってしまった。アスマさんと紅さんは当然のように二人で帰っていく。残されたのは私とシカマル
「収集つかないなー、もう」
「二軒も付き合ったんだし、俺はもう帰りますよ」
「あ、私も帰るよ」
私は紅さんが小隊長を務める班の一人、シカマルはアスマさんが小隊長を務める班の一人。アスマさんと紅さん繋がりでこのメンツとはよく飲みに行く(連れていかれる)のだが、毎回グダグダで終わる。特に気にもしてない
「大して飲んでないのに、あそこまでよく潰れるよねぇ…イズモとコテツ」
「アンタがザルなだけでしょ…」
「あーん?何か言ったかな、この生意気なく・ち・は」
むぎゅーとシカマルの頬を手で挟む。少量でも酒の入ったシカマルは普段よりも大人しく、嫌な顔はするものの抵抗はしない
「アンタもちょっとは酔ってんスね。そのテンションおかしいでしょ」
「いやいや、今夜が特別なだけ」
「、何かあるんすか」
いぶかしげなシカマルの顔が愉快だ。本当にコイツは可愛い後輩だな…
「実は、今日は私の誕生日なんだよ。この仕事柄そんなの気にもしてなかったんだけどさ、今年はタイミング良く皆で騒げたじゃん?それだけで嬉しいんだよ」
ほら、自分の誕生日が気にかけられるだけでも幸せじゃない?って笑うとシカマルはスッと私の手から離れた。あれ、何だろうこの子ったら、急に無表情になっちゃって
「…そう言うのは、言ってくんねぇと」
「あ、拗ねてんの?言って欲しかったんなら聞いてくんないと」
「だから、そういうのは言ってくんねぇとって言ってんでしょ」
「いやいや聞いてくんないと」
「言ってくんねぇと」
「…なんで後輩に指図さんなきゃならないのよ」
「任務以外は俺が優位じゃねぇと、嫌なんすよ」
「うわー生意気」
「アンタ…俺の言ってる意味がちゃんと分かってねぇでしょ」
顔を赤らめちゃってコイツは本当に可愛い奴だな。もっとちゃんとはっきり言えるようになったら、私も頷いてあげる
「はは、帰るよ。シカマル」
今はただ
(触れ合うまで、この距離を保つ)
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