夜が明ける キバ
遮るモノは全て消えて、俺らの間にはあと数センチのもどかしい距離があるだけだ
「…何してんの」
もう少しで全て終わる筈だったのに、眼を覚ました女に苛っとする。いいや、このままでもいい
「何でもねぇよ」
「がっつり馬乗りしてる癖に何言ってんだ、犬野郎」
「あーもー…うっせぇな。あのまま寝ときゃいいのによ」
「じゃあ殺せば」
「腐るしヤダ」
「…」
「動かなきゃいいから」
「ド変態ヤロー」
ムスッとする顔に何度も口付けて、それから窒息死しそうな程抱き締めて。そうすると手を握ってくる名前に胸がザワリと嫌な音を立てて動く。このまま朝を迎えたら、溢れてくる気持ちも伝わるだろう
このまま君を俺のモノにして。常識とか、理性とかを取っ払った先
夜が明ける
(誤魔化せない夜が)
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