強行手段 シカマル
「最近変よねー、シカマル」
「そうそう。普段の三倍はボケッとしてるし」
いのとサクラに団子屋で捕まって早一時間。何故か話題はシカマルに。二人はピンとこない私に首を縦に振り力説する
「ふーん…何か悪いものでも食べたんじゃない?」
「あのね…大体名前はシカマルと同じ中忍選抜試験の試験官でしょ?何か気付かないわけ?」
「何かって言われても…」
別にずっとシカマルと居る訳じゃないし。っていうか、そんなのに気を配るほど暇でもないし
「やっぱりあれじゃない?恋煩い!ほら、テマリさんがらみとかっ」
「…え?シカマルって、テマリさんと何かあんの?」
サクラの発言に飲もうとして持ち上げた湯呑みを机に置く。サクラといのは同じ速度で私を見た
「「気になる?」」
「いや…別に」
ややこしい事になりそうな予感がして私は足早に団子屋を出た。別に、シカマルが誰と何があろうと関係はないけど、まぁ内輪でそういう話があれば気になるもんよね?普通
(やっぱりシカマルが恋煩いなんてしてる姿は想像できないけど)
とにかく真相を突き止めるべく試験会場へ向かう。そこではタイミング悪く(良く?)シカマルがテマリさんと居た。会話は試験のことで間違いないだろうが、本当にシカマルはテマリさんにそっち系の感情を持ってるのだろうか。うーん、至ってポーカーフェイス
「おい」
「っうぎゃ!」
遠くからシカマル達の様子を見ていて背後の気配に気を配れなかった私の肩を叩いたのは、キバ。本当にびっくりした…!
「どどど、どうしたの?」
「クク…お前動揺しすぎ」
「あ、あったり前でしょっ!折角調査してたのにっ」
「調査?」
?を頭に浮かべるキバと共にまたシカマル達の様子を見る。さっきと何らかわりない状況
「いのとサクラが最近シカマルが恋煩いだとか言っててさー…だったら相手は誰だろうって」
「アイツが恋煩い?んなのあり得ねぇだろ」
「だよねー…って、キバは何しに来たの?」
振り返ると思ったよりもキバが近くて一瞬身体が固まる。しかも離れる様子が無いから尚更
「ちょっと、イタズラをな」
「はぁ?」
なんで15にもなってイタズラ?しかもそれって今の状況と関係あんの?取り敢えず離れてくんない?
「っちょ、キバさんキバさん。今すぐ離れないと鳩尾5連発いくよ?」
「…お前、普通の女はここで頬の一つでも赤らめるもんだぜ」
「あはは。普通の女は忍になんないから」
さて、と。一向に離れる様子のないキバに鳩尾5連発を決める姿勢を取る。その時だった。凄まじい視線を感じたのは
「…てめぇら、仕事中に何やってんだ?」
「(うわ、めちゃくちゃ怒ってらっしゃるーっ!)み、鳩尾5連発?」
なんて誤魔化せる筈もなく。ってかまだ退かないキバうぜー!はっ、もしかしてこれがイタズラ!私への特大イタズラだなこれはっ
「お前最近恋煩いしてんだって?」
「はぁ?何だそりゃ」
「コイツ情報」
やっと離れたかと思いきやキバは私を指差した。シカマルの眉がこれでもかと思うほど皺をつくると同時に、キバは「そーゆことだ」と手を振って行ってしまった。そーゆことて、どゆこと!?どうしてくれんだよこの空気っ
「……あ、はは。さよなら」
キバに続いて逃げてやろうとしたけどシカマルの方が速かった。私は右腕を掴まれ壁に押し付けられる。さっきのキバよりも近い。しかも、これは本気だ…
「どういうことか、説明してくれんだよな?」
「は、はい……」
今日は災難日だな、うん。しかもキバのせいでシカマルを怒らせちゃったよ。しょうもない理由で仕事サボんなとか言われるよ…
「誰から吹き込まれた?」
「い、いのとサクラが…最近シカマルがボケッとして恋煩いしてんじゃないかって……ほら、今ちょうどテマリさんが来てるから」
「あ?なんであの人と俺が繋がんだよ」
「さ、さぁ?取り敢えず、それで真意を確かめようと…覗きを」
うわ、これは正直すぎる。絶対怒られる。ってかシカマル滅茶苦茶怖いし。顔見れねー
「…で、結論は」
「え?」
「俺がそんな風に見えたかって聞いてんの」
「いえ…全く、仕事中にしか見えませんでしたけども」
「実際そうだっつの」
ん?怒る様子もない?これは助かるかも
「だよねー、あらぬ疑い(?)かけてすいませんしたー」
そそくさ、とシカマルの束縛から抜けようとすると掴まれていた右腕を更にきつく握られる
(ん?)
「ま、煩ってんのは確かだぜ?」
「マジ?煩ってるって、恋煩いしてるってことだよね。誰だれ?」
うわ。一気に面白い展開になってきたじゃん。この感じはあと一押しで白状したうパータンのやつ!
「…お前な、本当に分かってねぇだろ」
「は……」
一瞬で目の前が真っ黒になった。しかも結構な間、それが続く
「っ…!」
やばい。やばい、これは
「っ…後は自分で考えろ」
好き放題やった後でシカマルはとっとと私から離れていく。ってか今のはキスですか……恋煩いの相手って
(嘘、だ……)
強行手段
(気付いた…気付いた!)
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