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でもね 我愛羅


少し離れたところから。そういう距離感が大切。あと、立場。対象との関係によっては深入りもいいと思う。でも他人は駄目


(だって、殺される)


可笑しいことにね、人間は死が怖い。何れ絶対に死んじゃうのに、だよ?私も例外じゃないのが悲しい話


(あ、夜叉丸さん)


声をかけはしない。だってあの人はあの子と暮らしてて、近くにはあの子がいる。砂を武器にするなんて、この里の中ならどこにいても無敵すぎる。怖い


「夜叉丸っ」


トタトタと走って夜叉丸さんに抱き付く子供に血の気が引く。こんな近くに(意図的でないにしろ)近づいたのは初めてで。その無邪気さで人を殺すの、か


「あ…」


ポロリと私の手から転げ落ちたモノがその子の前に落ちる。それでやっと私の存在に気付いた彼は、躊躇いながらそれを拾った


「は…はい」


顔の筋肉が上手く動かせないみたいなひきつった顔でそれを渡してくる彼。私は夜叉丸さんを見た


ニッコリ、ただ笑うその顔に少し落ち着いてくる心


大丈夫。感情を逆撫でしなければ、さっさと受け取って家に帰れる。私はゆっくりと手を伸ばして受け取った


「あ、ありがと、う」


震えている声にも気付かないで嬉しそうに笑う子。騙されない、この子はそうやって気まぐれに人を殺すのよ。現に殺された人が何人いることか


「行きましょうか、我愛羅様」


「うん」


夜叉丸さんと手を繋ぎながら歩いていく彼がチラッと振り返った時は、殺されるかと思った











でもね
(その子は手を振ったの)




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