あ、胸が痛い シカマル
何度も小石に突っ掛かるのが動揺してる証拠。好きだ、なんて急に言われたらそれも仕方ない気がするけど
“お前気付かねぇから言うけどよ。俺が好きなのはお前だ”
再検討すればするほど勝手な告白だ。やたらと告白されてるのに断ってるから付き合ってる娘でもいるの、なんて聞いたのが間違いだった。いや、例え私がそう聞かなくてもいずれ彼は言ってたのかも。面倒だから、って
“二度と誤解すんじゃねぇぞ”
向けられたニヒルな笑顔で遂に私は言葉を失った。どうにかしてこたえなきゃいけないと焦った。でも彼はそれ以上何も言わない訳で、なんだその言い逃げみたいな感じ、と思ったけど言い逃げる訳じゃなくその後も隣にいて
私の言葉を待ってるのかな、なんて思って盗み見した彼の顔は遥か彼方に向いていた。まるで何もありませんでした、みたいな。でも私には気にするなと言われてるみたいに思えた訳で
“…シカマルのこと嫌いか好きかで言ったら、好きだから”
言い逃げしてしまったのは私だった。その後すぐに逃げた。正直に言ったら急に怖くなって、もしかしたらシカマルは嘘をついてたんじゃないかと思って。だって、あれが本気で私がシカマルなら逃げる。今よりももうそれは素早く。だって、好きってそういうことでしょ?
「…なんて、こと」
どうせ今頃シカマルは苦笑いだ。もう私が何をどう思ってるかなんてお見通しで(嫌いじゃないって言ったし)、元より感情には好きか嫌いしかないし。でもそれを認めなければどうとでも誤魔化せて
(ドクン、ドクン、ドクン)
あ、胸が痛い
(はっきり言って、好きだ)
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