不死身な俺 飛段
己の心臓を貫く。全てがリセットされるような痛みと感覚。これだから“裁き”はやめられねぇ
「飛段、いい加減にしろ。もう30分だ」
「…うっせぇよ、角都。ジャシン教の戒律をなめんじゃねぇ」
目を開けると夕焼け色に染まる森の中。心臓を突き刺していた槍を抜き、立ち上がって口の回りの血を拭う。乾いてきたそれが完璧に拭える事はない
「換金所に向かうぞ」
「っち、金なんか集めても何にもなんねぇっつぅの。俺の儀式を何だと思ってやがる」
「時間の無駄だ」
組まされたオヤジは自らの意志で死を拒み、そうまでしてやりたい事は金集め。俺には到底理解のできない相手だ
「俺を殺せねぇ癖に、でけぇ口叩くんじゃねぇよ。マジで」
俺は何度も俺を殺した。何度も“裁き”を下し、何度も儀式を行うことで。角都に止めろと催促される度、目が覚める俺は運が良かっただけだ
次は二度と目が覚めないかもしれない。いつか、俺も死ぬ時がくる。人間についてまわる死が必ず来る
「フン、お前なんぞいつでも殺してやる」
「は、無理だって」
不死身な俺
(殺してください、ジャシン様)
(それが背徳的な願いでも)
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