隣においで シカマル 何から伝えればいいのか。浮かんでは消えていくありふれた言葉を飲み込んで、それから君を待つ 「シカマル?こんな所で何してんの」 「ちょっと、な」 そうして待って、現れられた途端すくむ自分の心が情けない。どれだけ考えていても言葉の限界にぶつかるばかりで 「もう朝になっちゃいそう」 「だな」 俺の隣に座って欠伸をした女とはかれこれ何年の付き合いだろう。人生の半分以上は確実。意識しての関係は、わかんねぇけど 「明日…っていうか今日の任務は大丈夫?家帰って寝て来たらいいのに」 「今日の任務、なぁ…午後からだし問題ねぇよ」 「あ、そうなんだ。私は休み」 「へー」 ぼんやりと明るくなってきた世界で過ごすこの時間。俺が最も愛し、安堵する世界が最近は酷く億劫だ。何もかも俺の勝手な想いのおかげで 「ねー、シカマル」 「あー?」 「籍入れよっか」 その億劫を、名前はどうとも思わずにはらした。それ、俺が言おうとしてた事だったんだけど。なんて言う気はなく、ただ苦笑した 「あぁ…いいんじゃねぇの?」 隣においで (手招きしたのは俺だからな) ←→ [戻る] |