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殺那的感情 シカマル


船に揺られながら思ってた。もう帰れないんだなって。ずっと大切にしてきた日々を思い出すと穏やかになれるけど、同時に凄く息苦しくて


今度があるなら、もう少し長生きできますように。そしてあわよくば


「シカマル…」


君と、また会えたらいい




「おい、名前」


パチン、と弾けるように戻った意識。視界に写る兄の顔。見慣れた日常の景色、その中で私は立ち尽くしていた


「あ…ごめん」


「乗らねぇなら置いてくぞ、ったく」


面倒だと小言を言いながら毎日自転車の後ろに乗せてくれる兄の顔。それは先程まで見ていた記憶と狂いなく重なる。たまに見えるのは、いつぞやも分からぬ前世の記憶


そこでは私は忍。毎日死にかける。生きるために、相手を殺す。しかしそれよりもただ、愛しい人を守るために戦っていた。その人の名は、シカマル。そこでは彼と私の間に子供がいて。幸せな日々の中で私は死んだ


そのシカマルって人。きっと、いや確実にその生まれ変わりは我が兄。名こそ違うが、外見的にどこが違うのかを上げる方が難しいほど似ている


「もっとスピード出せー、馬鹿兄ー」


「うっせー。何で俺はお前の兄に産まれてきたんだ、面倒くせぇ」


面倒くせぇ、か


「運命だよ、きっと」


「何言ってんだお前」










殺那的感情
(やっぱり、少しだけ寂しい)




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あきゅろす。
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