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10 傍ら佇み
打算 の続き


明日がくるなら、それはもう完結している


(曖昧な定義、という矛盾)


君が笑った









傍ら佇み









耳の中で風が唸る。生い茂る木々の中に彼は居た


「ここで少し待ってろ」


そうしてすぐにアスマ上忍は私を木の上に置いて走る。影縛りの術が解けそうになる。シカマルの両手が震え、汗は絶えず落ちていく。覚悟したのか、それとは違うのか、彼は少し口元を歪めた


(シカマル…!)


声を出しては気付かれる。そうは分かっているものの喉から息が吐かれる。声にならない声がアスマ上忍を加速させたかのようにスローな世界が終わる


「っ…?」


術が解け、これまでかと瞑った瞳。しかし何も起きず、様子を見ようとするシカマルの元に駆け寄る。アスマ上忍はほっとしたように煙草の煙を吸う


「間一髪、だな」


「アスマ…それにナマエ、お前なんでこんなところに」


「っ、う、」


「!」


ぼろぼろと溢れるものに声が出ない。先ほどまでの緊張状態を解かれた反動、というよりかはただ、シカマルがあと少しで死んでいたかもしれないという事実に身体が震えている


「…こいつがお前の居場所を探しあてたんだ」


少しは安心させてやれ、とアスマ上忍は言う。まだ里中は戦いが続いている、けれども


「ナマエ」


シカマルが私を呼ぶ。私はそれに従い顔を上げる。見上げた先で不器用に笑う彼が居て、世界は昨日と変わらずにここにあると分かる


(ただし、それだけで十分な世界は終わった)


涙をぬぐってくれる手は傷だらけで、沁みるのか少し動いた表情。けれど私をまっすぐに射抜く。続く言葉はなくとも、その不器用な笑顔は、私を必ず強くする


「お兄ちゃん、」


もう少しだけ、私はあなたに近づいて









(その全てに寄り添い、捧げ、失活し)




あきゅろす。
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