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09 打算



見上げたって変わらない。果て










打算










(ない、)


何も残らない、ということすら人は犯してみないとわからない。経験がそれほど重要だとも言えるし、単に愚かしいとも言える。ともあれ私は生きているのであり、それを受け止めるより他はない


「間一髪、ってとこだな」


(ナマエ、)


期待したのは私を呼ぶ彼の声。しかし、聞こえてきたのは彼の上忍の声。そして次に煙草の独特な匂いが私の鼻を劈いた


「、アスマ上忍」


アカデミーのガキは避難勧告出てただろうが、と強めに言われたら私はなにも言えず俯くしかない。そんな私を見て俺は説教はあまり得意じゃないんだ、と苦虫を噛み潰すみたいに眉を寄せたアスマ上忍ははぁー、と長めの溜息をついた。私を殺そうとして今はアスマ上忍の周りに倒れている忍のことなどもう視界にも入れていない様子で、それらを自分が殺ったのにも関わらず、だが私が殺した1人を横目で見るアスマ上忍は矛盾している


「とりあえず避難だ、といいたいところだがお前さんを一人で行かすには危険すぎる。ついて来い、兄貴と一緒に保護してやる」


「、シカマルいるの?」


(どこに、なんでアスマ上忍が)


警戒音が鳴る。人の足音、叫び、破壊音が消えた。彼の気配だけを掴む


「こっち、」


できるだけ、精一杯早く走っても遅かったらしくアスマ上忍に抱えられる。まだ少し遠い


「案内だけしろ」


お前には分かるんだろ






(今はその言葉に泣きそうだ)





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