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05 狭間
(※縁側 の続き)


気持ちの悪い夢を見た。地面がぐらぐら揺れて、崖から落ちそうになるのに右足が固定されたように動かない。だから落ちない


(あ、)


崖下で誰かが私を見ている













狭間













「凄い熱ね、今日は休みなさい」


「うん…」


お母さんが部屋から出て行くと私は目を閉じ深く一呼吸する。妙な夢から目覚めた後、突然の発熱に私は完全にやられた。アカデミーはお休みでいいから、と体調を崩した時の母はどの世界でも一緒で凄く優しい。それが完全にアウトだった


(崖の下に居たのは、前の世界のお母さんだ)


「泣いてた…のかな」


よくは分からなかったけど、そうだったような気がする。それに凄い勢いで引っ張られた


「ちょっといいか」


扉の外からシカマルの声がする。私はこみ上げる感情をぐっと抑えてからいいよ、と返事をした


「これ、お前の頭にのせてこいってよ」


お母さんに指示されたようで、冷水で濡らしたタオルを私の額に乗せるシカマルの指が少し触れる


「シカマル」


「ん?」


「もし、急に私がいなくなったらどうする…?」


もし、あの夢で私が崖から落ちていたら、私は今ここに居れたのか


(私は、どうしていいのか分からない)


「…お前が帰りたいって思ってんなら、どんな手を使っても連れ戻してやるよ」


めんどくせーけどな、と付け足すと私の額に軽く手を置いてタオルをずらした。視界が真っ暗になる


「ちょ、」


「じゃーな」


パタン、と扉が閉まって部屋に静寂が戻る。ゆるりと、また意識が沈んでいく


「お母さん、私」











ごめん まだ この世界に







あきゅろす。
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