03 昼下がり
(※夕立 の続き)
どこの世界にも馬鹿はいる。ひねくれ者は嫌われる。嫌われたくなきゃ媚びればいい。それが嫌なら無難に、普通っていうイメージを大切にするといい。まず嫌われはしない。好かれもしないけど
(大した術も使えない癖になんであんな高いとこに落書きできるのかは誰も気にしないのかな)
火影岩にでかでかと落書きした罰で、自分の落書きを消すように言われ実行しているうずまきナルトが遠くに見える。アカデミーではまたあのナルトが、とかばっかじゃねぇの、とかそういういつもの雑談が聞こえていた。分身の術もまともに出来ない、所謂オチコボレ。毛嫌いされてる理由はいつもやらかすど派手な悪戯のせいなのか、いつもやらかすど派手な悪戯の理由は毛嫌いされてるからなのか
「ちょっとだけ興味ある」
「…」
「ね、うずまきナルトってシカマルと同じクラスなんでしょ」
隣で横になるシカマルは手で作った望遠鏡でナルトを覗く私にチラリと視線をよこすと起き上がってナルトを見た
「別に、大した仲じゃねーけど」
「でも、ほんとはちょっと気になるんでしょ。あの人、ひねくれてるけど、ひねくれてない」
「さぁな。俺はそこまで興味ねー」
「私は興味ある」
お前…とシカマルは何か言いたげにしてたけど少し考えて面倒くさい、とでも思ったんだろう。また横になって目を閉じた
「…ナルトは何でか、大人たちに避けられてる」
「………」
「ま、関係ねーけど」
んなこと気にしてられっかめんどくせー、って呟くとどうやらシカマルは本格的に眠りについたようで規則的な寝息をたてはじめた
「面倒くさがりじゃなければモテるのにね」
性格イケメンとはシカマルみたいな人間のことを言うのではないだろうか。見た目は少し怖い印象を受けるけど、人を見る目であったり態度、発言は常に適材適所だし、自分が出なければいけない場面というのも弁えている。大学生の頃の私の本音がぽろりと露呈して、なんだか少し気恥ずかしくなった
(余計なお世話かな)
シカマルは女はめんどくせー生き物だと常日頃言っている。怒ると怖いだの、ヒステリックはごめんだの、色々
「あ、ナマエちゃん居たの」
「チョウジくん。こんにちは」
「こんにちは」
お菓子を食べながら私の隣に座るチョウジくんはシカマルの親友で、シカマルが絶対的信頼を置いている心優しい少年だ
「私チョウジくんと結婚しようかな」
「ば、!」
ごほっ、げほっとシカマルが咽せながら凄い勢いで起き上がる。寝てないじゃん
「冗談だよ」
「冗談に聞こえねーよ」
「うん。だって半分は本気」
「お前な…」
はぁ、と深く溜め息をついたシカマルに対して笑ってそれを受け流すチョウジくんは穏やかで柔らかい。うん、やっぱり半分は本気
「あ、うずまきナルトも気になるなー」
昼下がり
「ちょっと待て」
(今度こそ本気でストップがかかりました)
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