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オレンジランプ
夜、ベッドでぼんやりとしたランプをつけたままぼんやりと少し前を思いだした。
目を閉じてたいーたんがうっすら目をあける。

「零崎?寝ないの?」
「いや…妄想ふけってた。ついでに思い出してた」
「何を?」
「そういやいーたん、最初は寝顔見られたくないって言ってなかなかうちに泊まんなかったなーって。」
「寝顔みられるの嫌いなんだよ」
「そんでベッドもう一個買ったんだよなあ。かはは、そしたらいーたん、君ってばかなのって呆れてたよなあ」
「一緒に寝るのが嫌なわけじゃないんだよ。同じ部屋にいたら意味ないんだよ」

前髪をさらさらといじって額をだす。いーたんは眠たいのか大人しくされるがままだった。
そういえばあの頃のいーたんはもっとツンツンしてて、こんな事させてくれそうになかったっけ。付き合っていたもののほんとはこいつ俺の事嫌いなんじゃないかともしばしば思った。

「風邪引いて熱出した時にうちに強制連行して、看病してから泊まってくようになったよな」
「あんだけ見られちゃあね、もうしょうがないし」
「長く一緒にいるようになってかツンツンしてるのも収まったしな。」
「ツンツンしてない」
「だいぶ前にもこのやり取りしたけど、してたんだって。ツンツンてゆうか態度が冷たかったんだよ」
「…なんてゆうか、どんな態度とっていいかわからなかったから常に緊張状態だったていうか…」
「なんだそれ?初耳」
「うん…なんだろう、どんな接し方していいのかわからなくて。ベタベタされたらいやだろうし、そっけないのは違うし、って色々考えてた。嫌われたくなくて、いっぱい考えた。すきなひと出来たの初めてだったから、何も解らなくて」
「……」
「でもいっぱい考えたらどんな態度とっても駄目な気がして。」
うとうとした眼で俺の指を握ったり離したりする手が暖かい。ものすごく眠たそうだが饒舌なので大人しく聞いていた。

「でも、風邪引いた時体も頭もだるくって、そういうの考える余裕無くなって、何も考えないで接したら、零崎、笑ったんだ。」
「笑った?」
「そう。君はいつも通り、笑ったんだよ。ああ、あんな考えること無かったんだなって思った。」

こいつあんなしかめっ面でそんな事悩んでたのか。
俺の事で頭いっぱいにして、たくさん悩んで、なにこいつ、なにこの可愛い生物。
嬉しくて可愛くて愛しくて、緩みっぱなしの顔で笑った。

「かはは、何がきっかけになるかわからないよなー」
「そうだね…」

オレンジの光に照らされた頬に手を滑らせる。

「さ、そろそろ寝ようか」

限界近かったらしいいーたんは頷くだけで返事はしないまま、俺の指を握ったままで眠りに落ちた。

ランプを消して、布団をいーたんの肩までかけて眼をとじる。

一緒に寝れることに、寝顔をさらしてくれることに、二人で朝を迎えられることに幸せを感じながら。






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