はじまりのはじまり。
雰囲気とは、音の様に空気を伝わってくると思う。
飲み会の様に楽しい雰囲気、葬式の様に悲しい雰囲気、寺の様に厳かな雰囲気、夜の様に艶めかしい雰囲気。
ドアの向こうからするのは、ピリピリした雰囲気だった。殺人鬼がイライラしてるのだろうか。
そっと部屋のドアをあける。
零崎は窓の外をみていたらしく、振り向いておかえりといった。
「ただいま。なにがあったんだ?」
「別に」
「なんでもない訳ないだろ、殺気ふりまいてピリピリして。珍しい」
ふと視線を落とすと零崎の元携帯があった。元、携帯。
携帯は完全に壊れていた。
半分に折られて真っ暗な画面、空き缶を握り潰した様に指の跡がついているボタンの部分。
「なにがあったの」
「…………兄貴がさ、」
窓枠に肘をついて、大きく息を吐いた。
「裏世界でちょっと大きな戦争があるから、手伝えって。」
「いけばいいじゃん」
「場所…日本じゃないどこかで、いつまでかかるか、生きて帰れるかも解んないんだ。お前残していけねぇよ」
最近の俺の目標は嫁の手握って死ぬことだもんと、真顔で言う零崎。
嫁ってお前。
「でも、家族の助けを蹴飛ばすつもりもないんだろ?」
「………まいったよなぁ」と溜め息をついた。
僕と零崎一賊、頭の中で天秤にかけているのだろうか。
「僕は」
「?」
「いくべきだと思う」
「……でも」
「君がいかなかったせいでお兄さん死んでも君後悔しない?僕はね、後悔してる君なんて嫌いだよ」
「…いーたん、」
「だからいけよ零崎人識。」
「……お前は一人で寂しくないのか?」
「…寂しいだろうね。もしかしたら寂しすぎて死ぬかもしれない」
「うさぎか」
「しらないの?僕ってうさぎなんだよ。ん、あれ、ナメクジだっけ…?」
「ナメクジ!?差がありすぎる!」
「兎に角。そんな死に方いやだし、まず寂しいの嫌だから」
「嫌だから?」
「僕も一緒にいこうと思います」
「………は?」
はじまりの破締まり
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