[携帯モード] [URL送信]

main
仮初めの明日(ロイ金+エミ)

目の前の光景に我が目を疑った。
そして、その時芽生えた感情を自分自身、説明することはできなかった。



**********




聞こえてきた声にロイエンタールはノックの手を止める。
その声は、これから自分が入ろうとしている部屋から聞こえる。

此処が友人のミッターマイヤーか同僚達の部屋だったとしたら、別段、疑問も抱かなかったのだが…
今、自分が立っているドアの向こうはラインハルトの執務室なのである。
時折、2人分の楽しそうな笑い声も聞こえてくる…その不釣り合いさがロイエンタールの手を止めた。


ラインハルトの笑い声など久しぶりに聞いた。
これまで、その声が自分に向けられることはなく、それもあってか、ロイエンタールにはラインハルトの話し相手がやけに気になる。

(マリーンドルフ嬢と話でもしているのだろうか?)

ラインハルトの声と少し高めなもう一人の声が聞き取れるだけで相手の判別はできない。


「失礼します」

何故だか焦燥に駆られ、返事を待たずドアを開けた。


「んっ?何だいきなり不躾ではないか」
「失礼…ノックしたのですが、ご返事を頂けませんでしたので」
「そうか、すまない…急ぎか?」
「はい…」

ラインハルトは応接ソファに腰掛けている、その対面に座っていたのは見覚えのない少年だった。

会話の相手がヒルダではなかったことにロイエンタールは少なからず驚かされた。


ドアを開けたまま入ってこないロイエンタールを不審に思い、

「…ロイエンタール」

ラインハルトは自分の方へ来るように促した。

その声でロイエンタールが室内に入って来ると、少年が慌てて席を離れようとする。


「ああ、エミールそのままで」
「いえっ、ですが…」
「すぐに終わるから座っていてくれ」
「……はい」

どうやら、この少年はエミールと言うらしい。
ラインハルトに座っているようにと言われたエミールは、ロイエンタールに向かって仰々しい程に一礼すると大人しく元の位置に戻った。


ラインハルトが渡された資料に目を通している間、ロイエンタールは視界の端でエミールを捉える。

所在なさげにソファで小さくなっている少年は幼年学校の制服に身を包み、緊張したように床の一点を見つめて固まっていた。



幼年学校の生徒を従卒として側に置くことは通例であり、ロイエンタール自身も身の回りに数人置いている。


(しかし、これはー…)


ロイエンタールが気になったのは少年の容姿である。

やはり目に付くのはその髪色で、燃えるような赤ではないにしろ落ち着いた赤色をしていた。
今は横顔しか見えないが、優しげな輪郭は、ある人物の面影を浮かび上がらせるのに充分だ。




「大体のことは分かった…残りは卿の考えで進めてくれて構わない」
「はっ」
「では、ご苦労」
「はい、失礼致します」


踵を返したのと同時に再開された会話を背にし、ロイエンタールは部屋を辞した。




(全く、閣下にも呆れたものだ)

誰もいない廊下にロイエンタールの靴音だけが静かに響く。

「…ご自分でも気づいておられるだろうに…」


その呟きは誰にも届くことなく廊下に吸い込まれていった。


室内の声が聞こえるはずもないのに、一度だけ執務室を振り返る。


(あのような者を近くに置いて、どうするというのだ、何の……誰の代わりにするのだ)

自身の分かりきった質問にも嫌気がさした。


あの方はいつまで死者に捕らわれ続けるつもりなのか…

(それを自らに是として?)



生者と歩む道よりも、死者と共に歩まれる道を選ばれたということか…

(では最早あの方に生者は必要ないのではないか?)



死者としてでしか、あの方にお仕えできないと言うならば…


(では…では、俺は――――?)


「俺のやり方で…か」



どの様な方法がふさわしいかなど…考えるだけ無駄だ。

自分がその方法を取る日は来るはずもないだから。


(そうだ…そのような日、来て貰っては困る)


ロイエンタールは自らの考えを打ち消すため歩みを速めた。




************
よく分からない物ができた^p^
そう言えば、この後、幹部会の席でエミールを再び見ることになってジェラシーモヤモヤロイエンタール(片仮名多ッ^^)に進化させるハズだったのを今、思い出した(^p^)忘れてたー繋げられなかったー繋げてもまた1人もんやもんや堂々巡りな考えを募らせるだけだと思われるので繋げなくてもゴールは一緒な気がするー^^
オスカー君は自分を追い詰めるのが好きだよねっ、て話。



[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!