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今からきみに告白します(菊丸)











英二は素直だね、とか。
英二は悩みがなさそうでいいね、とか。


そんなことをよく言われるんだけどそんなことなんてない。



俺だって人並みに悩みはあるし、素直になりたくてもなれないときもある。



「ほんっと英二と皐って仲良いよねー」

「しかも小学校の時からずっと同じクラスなんでしょ?もう赤い糸で結ばれてるレベルだよね」

「そんなんじゃなくてただの腐れ縁!高校くらいは皐と離れたいにゃー」



ほら、またこうやって素直になれない。

離れたいなんて一度も思ったことなんてないし、寧ろずっとこれから先も一緒にいれたらとまで思っているのに…。



「そうね。私も流石に高校くらいは英二と離れたいなぁ」



さらっと彼女から発せられた言葉が胸に刺さる。

さっきも言った通り俺は離れたいなんて思ったことない。
でも、もしかしたら皐の言葉は本心で、もう俺の存在に嫌気がさしているのかもしれない。


そう思ったら軽く眩暈がした。
自分で言い出したくせに俺はなんて馬鹿なんだろう。


先程の言葉で脳内どころか全身いっぱいに巡ってる様な感覚に襲われる中「喉乾いたからジュース買ってくる」とひとり教室を後にする皐。


その背中を見ると何故かこのまま皐が本当に俺の元から離れて行ってしまう様な気がした。



「っ!俺もジュース買いに行ってくる!!」

「英二!?」



いや、このままいけば確実に俺達は離れ離れになってしまう。
それが高校に入ってか、それとも大人になってからかなんてわからないけれど俺が素直にならなければアイツの隣にはいずれ俺ではなく他の男が寄り添うようになる。



そんなの嫌だ…!



「こーら。廊下走らない!」

「!…皐」



目の前に現れたのは既にジュースを買い終えた彼女の姿。

って、あれ。
俺は何で皐を追っかけて来たんだっけ。



「英二もジュース買いに来たの?」

「え、あ…うん!」



気付いたら貴方を追いかけていました、なんて勿論答えれるはずもなく咄嗟に相手の話に合わせる。



「…財布も持たずに?」



し、しまった…!
どうしよう。不自然すぎる。

大体後先考えずに気付いたら教室を飛び出してた訳だし、自分自身もどう立ち振る舞えばいいかなんてわからない。
(これは困った)



「…っ、」

「へ?」

「あはは!もー、英二どうしちゃったのよ!変なのー!!」



あ、笑った。

いつ見ても屈託のない笑顔。
この笑顔が俺は大好きだ。


ああ、そうか。

俺、皐と離れたくないから。これからもずっと一緒にいたいからコイツを追いかけたんだ。


正直、気持ちを伝えたからっていい方向に行くとは限らない。もしかしたら俺の気持ちは受け入れられず、今日にでも俺らの距離は離れてしまうかもしれない。


でも。それでも君に伝えなきゃ。
今まで意地を張って伝えきれなかった言葉を。



「ねぇ、皐。さっき言ったことだけどあれね、うそなんだ」

「…そっか」

「俺ね、皐と一緒にいれて嬉しいしこれからも一緒にいたいって思ってる」

「うん」

「だから、俺の素直な気持ちを聞いてほしい」

「うん。私も聞かせてほしい」



もう意地っ張りな自分とはここでさよなら。
今素直にならずにいつ素直になれっていうんだ!









今からきみに告白します






「俺ね、皐が好き」

「うん。私も英二が好き。」



今まで意地張ってて損した、と話す彼女と俺は思いの外似た者同士だったようで思わず笑ってしまった。







お題:確かに恋だった様


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