盗み聞きなんてしてない 屋上で昼寝をしていたら 人の声で目が覚めた。 男子生徒のだるそうな背中と、多分一年生だろう可愛らしい女子生徒 告白? 疑問に思うまでもない。どこぞのベタな少女漫画なんかによくある。その光景は現実なのか夢なのか…まだ覚めない頭でぼんやり考えていた 「悪い……」 「っ!!…」 今にも泣き崩れてしまいそうな女の子の顔 なんだか胸がズキンとして目が覚めた。 まるで他人では無いような感覚に陥る。女子生徒は唇を噛み締めながら駆け足で屋上の重い扉から姿を消した すると、相手の男の子のため息でまた現実に呼び戻された。 「!?、通!!」 今まで背中しかみえていなかった男子(女の子の告白にも冷たい)生徒は見たことがある、 というよりは、毎日のようにバカ騒ぎをしているクラスメイトだった。 「?…苗字か。盗み聞きなんて悪趣味なやつ」 「ちがっ!!別に、聞こえただけ!」 「そうですかー」 フェンスを背に腰を下ろした通の横に歩み寄り自分も隣に腰を下ろした。 私たちは男女と言うよりは男友達みたいなそんな感じ。 よく素直じゃないと言われる私と素っ気ない通。いつもの事なのになんかいつもと違って感じるのはきっと、さっきの告白現場を見たせいだ。 「通ってモテるんだね」 「そんなことないし…」 「さっきの子可愛いかったのにー。可哀相に。なんで断ったの?彼女いないなら付き合っちゃえば良いのに」 わたしの口が止まらないのは通がなにも言ってくれないから… 「わたしが男だったらだったらOKしちゃうなー」 「好きじゃないヤツと付き合っても楽しくないし」 ようやく口を開いた通の言葉が正論すぎで何も言い返せない。上手く言葉が出てこなかった。 「まぁ苗字よりはましだな」 「な!!!どうせ可愛くないですよー!」 「そういう所が可愛いくないの!」 「そういう所ってどういう所よ」 「そういう所はそういう所だよ、鈍感」 言い返そうとしたらおでこにチョップをお見舞いされた。 逃げるように立ち上がった通 仕返ししてやろうと慌てて後を追いかけた。 -ao- 同級生ネタが書きたかっただけです。通くんの相手は一目置くくらい鈍感が良いです。 でもやっぱり通くんは苦手です… 7117を踏んでくださった胡桃さんに捧げます。 気に入ってくれたらうれしいナ… お戻りはブラウザバックでお願いします |