あつくるしい
「元気ー、元気くん、元気さーん。」

「・・・・」


作業に夢中の元気に後ろから名前を呼ぶ。
相変わらず何の反応も無い

外はバケツをひっくり返したような雨が降っている。街へ出かけることも出来ないため、元気の部屋で過ごす事にした。
そう決めたときからこうなる事は解っていたんだけど。


雨の日の独特のじめじめした感じがより一層気分を悪くする。


「もう、おおかわさーん?」

「・・・なに?」


返事はしてくれたものの作業に夢中だ。


「つまんない。」

「うん。」


『うん』って…
元気の家にいるときはいつもだ。それでも一緒に居れるんだからいいんだけど。
でもやっぱり、こう、ラブラブというか
イチャイチャしたい。

なんて考えてたらちょっとおかしくなって。


「・・・ぷっ」

「?」

「ふふふ。なんでもない」

「名前、なに一人で笑ってんの?きもい。」

「な!!」

「一人で変なこと考えてる〜」

「ち、違うわよ!!」

抱きしめていたクッションを元気の顔めがけて投げた。それは片手で阻止されたけど。
元気は作業を一旦やめてベッドに座る私の隣に腰を下ろした。


「で?何考えてたの?」

「え?あー、元気とイチャイチャできたらなーって」

「あ、やっぱりいやらしいことを!?名前ちゃんのえっちー」

「違っ!その前に元気はイチャイチャなんて嫌いでしょ〜?今までイチャイチャなんてしたこと無いくせに。」

言いながら先ほど投げたクッションを元気から奪い取る。
何も言い返さない元気をちらりと横目で見ると
大きな瞳が私の顔をじっと見ている。


「げ、元気?」

「き・・・」

「き?」

「す・・・す・・・だー!!なんでもねぇ!!」


ゴメン元気。私にはわかっちゃた
元気がいいたい事も、私への愛も。だから、今日はイチャイチャしましょうか!



「うわっ!くっつくな!」
「えーいいじゃん!だって好きなんでしょ?」
「まだ言ってねぇし!!」
「まだ?私も好き、だーい好き!」
「お、おまえ!あ、暑苦しいわ!」






-ao-
イチャイチャまではまだ遠い。










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