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偽り




「ヒロー、俺、もう応援したくなーい」

歓声にまぎれてそんなことを言うとヒロは俺に笑いながら俺もーと言ってきた。

だけど、ヒロはヒロでなんだか楽しそうだ。


そんなことを思いながらふと、コートを見ると相良千里と目が合った、ような気がした。俺はとっさに満面の笑みで対応した。すると、相良の眉間に皺がよるのがわかった。


なんだ、あの反応。

俺の顔そんなに変だったか?いや、俺の演技は完璧なはずだ。じゃぁ、なんで不機嫌になるんだ?


んー、わからん。

「ゆずる!!危な」


「…っ!!」


ヒロの焦った声が聞こえたかと思ったら、顔に激痛がはしった。俺はそのあまりの痛さに顔を手で覆いしゃがみこんだ。


イッタァー!!
と心の中で叫ぶ。
近くではバスケットボールが転がっていた。



「おぃ、ゆずる、…大丈夫か?」

ヒロが俺の顔を覗き込みながら心配そうに言ってきた。俺は俺で痛さのせいでしゃべれないでいた。


ほんと痛い…。




「うわ、悪い!そこの子大丈夫か?」


前方から聞こえてきた声に周りが即反応する。
小此木だ…。


「なぁ、君、ほんとに大丈夫か?」


俺のとこまできた小此木はしゃがみこんで俺にそう聞いてきた。


だ、大丈夫じゃない。
し、視線が痛い。
顔の痛さより周りの奴らの視線に耐えきれない…。



「あ、小此木様、こ、こいつなら全然大丈夫なんで、試合に戻って大丈夫ですよ」


俺の危機的状況を察知してくれたのか、ヒロが小此木にそう言ってくれた。
ヒロ、ナイス!


「え、そう?まぁ、大丈夫ならいいんだけどさ。君、後でちゃんと保健室に行くんだよ。」


爽やかスマイルでそう言った小此木はコートに戻どろうと体を反転させた。
すると思い出したかのように顔だけこっちに向けて、こう言ってきた。


「あ、言っておくけど、ボール投げたの俺じゃないから。」


ちょっと意地悪っぽい笑みを浮かべさせながらコートに戻っていった。



俺は頭にハテナを浮かべ、顔を覆った手の隙間から目線をそらした。

手の隙間から見えたのは不敵に笑う相良だった。




犯人は、お ま え か。




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あきゅろす。
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