偽り
2
「「「キャーー!!」」」
「生徒会の皆様よ!」
「全員そろって食堂にくるなんて珍しい!」
「本当!でも、全員を近くで見られるなんてしあわせー!」
「キャー!!今、仁神様がこっちを見たわ!目があっちゃった!」
「違うわ!仁神様は私を見たのよ」
「キャーーーー!!!西園寺様ー!!」
疲れる。
こいつらに合わせるのは正直つらい。
だけど合わせないのはある意味自殺行為だ。
今食堂に来た生徒会の奴らに目をつけられるといろいろとやばい。
この学園の生徒会は教師よりも権力を持つ。
その上、頭もよく顔もいい。だからこそみんなに人気があるのだと思う。所詮顔。性格は最悪。人を人として見ていないゆえ、気に入らないやつは切り捨てる。今まで何人退学になったことか。
まぁ、退学になった原因は生徒会のせいだけとは限らない。生徒会につく親衛隊も関わってくる。というか、ほぼ確実に親衛隊が原因なのかもしれない。
虐め、リンチ、強姦、…他にもたくさんやり方はあるがどれも卑劣で残酷だ。そんな行為に耐えきれず、退学していく者が後を絶たない。結果、生徒会に近づいてもいいことはない。
もし、もしも仮に生徒会の奴らに気に入られたとしても待っているのは地獄。それならいっそ周りの奴らと同類になって、生徒会を慕った方がいい。
そう考えた俺は、入学早々自分を偽った。そして、今日で半年が経つ。
俺もよく頑張ったと自分を褒めてやりたい。
まぁ、偽ると言ってもただ周りに合わせてキャーキャー言ってるだけなんだけど、それだけでも精神的にくるものがあって、正直やめたい…。
だけど、やめてしまえば平穏な日々が確実に送れなくなるので、仕方なくやり続ける。
まぁ、慣れてきたからどうってことはないけど。
平穏な日々が送れればそれでいい。
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