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偽り
16


「死んでないなら、さっさとここから出てってくんない?」
「…すみません、出て行きたくても体が動かなくて…」

ついでに目も開けられません。


「……やったあとだから立てないんだ」
「はぃ?」
「やってないの?」
「…やるとは?」

セッと相手から聞こえた時点で違いますと言った。何を言うんだこの人は。


「…ふーん、じゃぁ、なんで動けないの」
「…全速力で走ったから、…です」
「なにそれ」

意味わかんないと言われごもっともですとあははと笑って誤魔化した。


「で、どうすんの?」
「…何がでしょうか」
「出て行かないの?」
「………」

出ていけないんだって…。さっきから言ってるだろうになんなんだこの人は。


「…ところで、なんで目閉じたまま喋ってんの?」
「いや…、目も開けられないくらい疲れてるんです」
「…ふーん、じゃぁ、ここじゃなくて保健室で寝れば?」

邪魔なんだよねとさっきから言いたい放題言っているこの人は何物なんでしょうか。顔を見たいけど疲れきった俺にはどうすることも出来ない。俺、情けない。

「…ねぇ、何か喋ってよ」
「じゃぁ…あなたは誰ですか?」
「は?」
「…いや、なんとなく知りたくなったので」
「聞いてどうすんの」
「…特になにも」

ほんとにわからないの?と不思議そうに尋ねられたからはいと答えた。あ、もしかしてこの人有名な人なのか?…生徒会の人だったらマジでどうしよう、目開けたいけど開けられない。開けるのが怖ぇよ。




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あきゅろす。
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