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偽り
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「はぁ…はぁ、はぁ…」

全速力で走っていたからなかなか息が整わない。
疲れた…。
俺は今、図書室にいる。屋上から逃げてきて、とりあえず人がいないここに入った。走りすぎて今は一歩も動けない。


「…何が、起こった、っていうんだよ…」


さっき起こった事に対してまだ頭が追いついていない。なんであいつが俺のことを襲ったかもどう考えてもわからない。
俺、知らないうちに何かしたのか?…いや、した覚えはない。じゃぁ、なんでなんだよ。…誰か教えてくれ。


「…はぁ、」

図書室の奥の本棚に背中を預けた。走り疲れて考える気力がない俺はもうこの際寝て忘れようと考えた。あれは夢だ。悪夢だ。さっさと忘れよう。そう思って俺は目を閉じた。


「…ねぇ、ここは寝る場所じゃないんだけど」

さっさと出てってくれない?と誰かの声が聞こえた。…頼むから俺を寝かせくれ。そんな俺の思いも虚しく誰かが側に近づいてきたのがわかった。俺、追い出されるのかな。そんなことを思いながら、必死に目を開けようと頑張ってみたけど、今の俺にそんな力もなく、起き上がることさえ出来なかった。


「…死んでるの?」
「死んではないです、はい。」


誰だかわからない相手にとりあえず返答はしておいた。というかつい答えしまった。だって、あの問いはないと思う。ほんとに死んでたらどうすんだろ。




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