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偽り



「ゆずるー、明日は朝から集会だってこと覚えてるか?」
「…思い出したくなかったな、それ」
「そんな顔すんなって」

まぁ、明日は生徒会全員出るわけじゃねーからそこまでひどくはねーだろとハンバーグを焼きながら俺を励ましてくれた。ありがとう、ヒロ。まぁ、ヒロの言うとおり生徒会全員が集まるわけじゃないから大丈夫、だと思いたい。ホント。
そんな気持ちを胸にヒロのできたと言う声に目の前のハンバーグを食べることに専念した。言うまでもなく美味しかった。



****


「えーと、今日は誰が出るんだっけ?」
「会長と副会長ですな」
「よりによってその2人ですか…」

はぁ、とため息をつけばヒロからため息つかないと背中をばしっと叩かれた。ため息もつきたくなりますよ。今俺たちは集会が行われる体育館に向かっている。集会って言っても行事などのお知らせを生徒会の誰かが言うってだけのことなんだけど、もう体育館がどっかの人気グループのコンサートみたいに盛り上がるんだよ…。奇声とか半端ないから。耳栓をしたいほどにな。しないけど。したら何言われるか。


「ゆずる、顔がどんどん青ざめてってるけど大丈夫か?」
「…いや、大丈夫じゃないっす」
「はは、頑張れゆずる、ほら開けるぞ」

小さい声でうんと言って俺とヒロは体育館の中に入った。集会が始まる20分前だというのに中にはたくさんの生徒が集まっていた。俺たちでも早い方なのに君たちは何時に来てるんですか。そんなことを思いながら俺とヒロは自分の席に足を進めた。生徒会の奴らはまだ来てないみたいで体育館の中は意外と静かだった。

「なぁ、ヒロ、こんなに静かなのって珍しくね?」

小声でヒロに聞くとあぁ、それはあれのせいだよと目線を体育館の端にずらして俺に教えてくれた。

「…あぁ、なるほど」

体育館の端には風紀委員の方々がいらっしゃった。
風紀委員は生徒会の次に権力を持つ委員でとてつもなく恐いという噂がある。そのため誰も風紀委員には近づこうとはしない。だからこんな風にみんなおとなしく生徒会を待っている。まぁ、生徒会の誰かが来たら風紀委員なんて関係ないんだけどさ。みんな騒ぎたい放題だよ。そんな風紀委員なんだけど、人気もあるみたいだから親衛隊も一応いるらしい。みんな美形だからな。


「でもさ、なんで風紀委員がここにいるんだ?」
「んー、たぶんみんなを見張るためじゃねー?ほら、今日来るの会長と副会長だし」
「あぁ、そっか」

ヒロの意見に1人納得し、俺たちはそれぞれ席についた。まぁ、会長と副会長は異常に人気だからみんな騒ぎ方が半端ねーけど、風紀委員が見張ってたら少しはおとなしくするってことか。てかしていただきたい。朝からキャーキャー言うのは正直しんどいんだよ。

そんな思いを胸の奥にしまって営業スマイル顔負けの笑顔で生徒会が来るのを待った。もうすぐ生徒会が来る。




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