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それが恋、それが愛




「……やってしまった」


俺は机に突っ伏して嘆いていた。

ついさっき、入学式が終わり、俺たち新入生は先生が来るのを教室で各自好きなように待っていた。

友達と話してる人や、本を読んでいる人、化粧をしている女の子や、ゲームをしている不良、いろんな人がこの教室にいた。

けれど俺が嘆いているのはそんなことじゃない。

体育館で行われた入学式が原因だ。

昨日は早めに寝たにも関わらず、俺は入学式の最中に寝てしまっていた。

気づいたときには入学式は終わっていて、新入生が退場するときだった。

慌てて起き上がった俺は当然の如く目立っていて、入学式早々恥ずかしい思いをしてしまった。


帰りたかった。

帰りたい衝動を必死に抑え、教室に来た俺は何もする気力もないまま机に突っ伏して時間を過ぎるのを待っていた。


友達を作る予定が台無しになったな…。
あははと心の中で笑っていた俺に声をかけてくれた人がいた。



「もしかして、お前、ヒノか?」

「…え、…は、ハルくん?!」


俺に声をかけてきたのは、幼なじみの遥くんだった。

突然の再会でびっくりした俺とは違って、どこか冷静な遥くんは、小さい頃とあまり変わっていなかった。

ただ、背が俺よりも10センチくらい高かったのが、少し悔しかった…。




****



「日野もあんときから全然変わってないなー」

「遥くんも変わってないよ」


学校の帰り道、俺と遥くんはたわいもない会話をしながら通学路を歩いていた。

並んで歩くたび、遥くんとの身長差に泣ける俺は、少し背は伸びすぎだと思うんだよね、と遥くんにさりげなく不満を言った。

そんな俺に、遥くんは、日野が伸びなさすぎなんだよ、ともっともなことを言われ、俺は何も言い返せなかった…。

はい、…その通りです。




そんな遥くんとは、幼稚園の頃からの付き合いで、いっつも2人で遊んでいたのを覚えている。

だけど、遥くんの親の転勤で小学校6年の時に別れてしまい、それから今日まで会えていなかった。

俺は昔と変わっていない遥くんと再会出来たことが嬉しくて、高校生活もなんとかやってけそうな気がして少し浮かれていた。



「遥くん、これからもよろしく」

「おぅ、こっちこそよろしくな」


そう言って、俺と遥くんはお互い握手を交わした。

最高のスタートを踏み出せたと、俺はとても満足していた。




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