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それが恋、それが愛


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「……はぁ、……遥くん、部活頑張ってるな…」


屋上からフェンス越しにグラウンドを見てそう呟く。


女の先輩からやっと解放された俺は、座って屋上からグラウンドを眺めていた。
自然とため息が出る。


先輩たちから、これ以上椎名に近づかないで、と言われ、俺はなんとも言えない気持ちになった。



「…いや、近づいてるのはあっちだから…」


俺は不満でいっぱいだった。
俺にどうしろと言うんだ。


何故か先輩たちは俺があいつに媚びてると思ってるらしく、俺は完全なるとばっちりを受けている。

こんなの俺が被害者で、俺が怒られるっておかしいと思うんだ…。




「……はぁ、入る高校間違ったかな」


ここに入ったことを後悔し、ため息をつく。

そんな俺に大きく手を振っている遥くんが目に入った。
俺も笑って遥くんに手を振り返す。



「…いいや、遥くんに会えたし」


一度は後悔したけど、遥くんとまた再開出来たことを思い出して、ちょっと気持ちが楽になった。

俺はそのまま手を振りながら遥くんを見ていた。

すると横に誰かが来た気配を感じ、俺はチラッと横を見た。

俺の顔が引きつるのがわかる…。




「………なんで横に座るんだよ」


横に座ってきた椎名に、俺は文句を言った。


そんな俺に椎名は俺の勝手だろ、と言ってフェンスに寄りかかり、ポケットから煙草を取り出す。

その態度ににムカついた俺は、椎名を無視してグラウンドを見た。

最初はここから立ち去ろうとも考えたけど、なんで俺が動かないといけないんだ、と思い直し、黙って遥くんが走ってる姿を眺めていた。

そんな長い沈黙の後、あいつが俺に話しかけてきた。




「………お前、あいつと仲良いのか?」
「………あいつって誰だよ」
「……先頭走ってるヤツ」
「遥くん?」
「………名前で呼んでんだ」
「遥くんとは幼なじみだし、…てか、…なんでそんなこと聞くんだよ」
「…別に」


遥くんのことを聞いてきた椎名は少し不機嫌だった。

しかし、フェンスに背中を預けて座っている椎名はやっぱり態度が悪くて、俺はムカついた。



「………なんだよ、その態度」
「…俺、いつもこんなだけど」


「……違うくせに」


グラウンドを見ながらそう呟いた俺はどこかおかしかった。

いろいろあったせいか、何かが爆発しそうな俺は、自分で感情をコントロール出来ず…、


椎名にぶつけていた。




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あきゅろす。
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