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それが恋、それが愛


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「あー、きっもちぃー」


俺は屋上にあるタンクの上に乗って風を感じていた。

これは中学時代もしていたことで、高校でも出来てよかったと感動する。


さっきのことなんかとっくに忘れていた。




「あ、遥くんがいる」


おーい、はるくーん、と大きな声で、グラウンドに居る遥くんに手を振った。

すると、俺に気づいてくれた遥くんが手を振り返してくれる。


遥くんは陸上部に入ったらしく、今日から練習みたいで張り切っていた。

俺はそんな遥くんにがんばれー、と叫んで応援をする。

もちろん遥くんからありがとー、と返事が来て俺は大満足だった。


そんな俺は遥くんの部活が終わるまで待っていようとタンクの上に寝転がった。

ちなみに俺は帰宅部。
まだ部活を決めていないからそうなるわけで、暇でしょうがない。




「…………ん?」


ふと、屋上のドアが開いたのを感じ、俺は寝転んだまま少し顔を出して誰が入ってきたのかを確認した。



「……あ、あれは」



ドアの入り口にいたのは、超かっこいい男だった。

絶対、噂の男子に違いない。

そう思った俺はそのままその男子を黙って眺めていた。


「んー…、それにしても、あの人…どこかで見たよう…な、あぁぁぁあぁぁぁー!」


そう叫んで、俺はタンクの上から降りて、その男子の前に立ちはだかった。





「お、お前は、椎名カイリ!」

指を差して、そう叫んでいた。




「……あぁ、お前か、」



そう言って素っ気ない態度を取る目の前の男に俺は腹を立てる。

そして、そいつは俺に構うことなく、ポケットから煙草を取出し吸い出した。



「あ、お前、煙草は二十歳からって」
「俺、もう、二十歳だから」
「あ、なら、大丈夫か…、


…じゃぬわぁぁぁい!」



平然と嘘を言う椎名に騙されそうになりながらも、俺は腹から声を出して、そう怒鳴った。


お前、俺と一緒で16だろうぉぉー!と叫ぶ俺を、鼻で笑う椎名は中学の頃とあまり変わっていなかった。

このすかした野郎は俺の中学時代の敵だった椎名カイリ。
女の子にとてつもなく人気があって、中学時代はそりゃ、ヤバいくらいモテまくっていた。


そして、俺はこいつに甘い青春時代を奪われた1人の被害者だ。

こいつが居たせいで俺の恋が実らなかったと言っても過言ではない。
というか、



「お前がかっこよすぎるんだよ!」


俺の一番の不満をぶつけた俺は、少しすっきりしていた。




「なんだよ、ソレ」


椎名はそんな俺をみて苦笑していた。




「…しっかし、お前、変わってねぇな」
「うるせー!」


「てか、お前、名門校受けるとか言ってなかったか?」

「な、なんで俺の忌まわしい過去をっ」



そう言って、オーバーリアクション付きで反応した俺は少し動揺していた。

友達にしか言ってないのに。

名門校を受験して落ちたことは何人かの友達にしか言っていない。



不思議に思っていた俺に椎名は、お前が言ったんだろ、と煙草を吹かしながら言ってきた。



「俺が?お前に?」
「…あぁ」
「…言った覚えはない」
「忘れたんだろ」
「…………うっ」


そう言われて俺は黙るしかなかった。

俺はあんまり暗記力がないからこいつの言う通りそうじゃないかと思ってしまう。
これだから、バカは嫌なんだ。


自分がバカだと再確認した俺は、戦意喪失して、とぼとぼドアに向かって歩き出す。



「………おぃ、日野、お前彼女は出来たか?」


そう言って嘲笑う椎名に、俺は



「出来るわけなかろぉぉぉぉぉぉー」






と、叫んでいた。
そして、そのまま、走って屋上から出ていった。

あれは、嫌みか、嫌みなのか…。


俺はすっごく悔しかった。




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あきゅろす。
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