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SS
バカズ
『っ………ダメッ!………っあ、んんん!』

『どこがダメなの、田浦?田浦のダメ、はイイの間違いだよね?』

『んっんっ、ダメだってぇ………なかたぁ、ヤダァ……』



隣の部屋から聞こえてくる、何やらアヤシイ声。


「え、これって…………」

「だまれ浦辺。静かにしてろ」

「え、てかまずくねぇ!?佐山はなんでそんなに冷静なんだよ!」

「いや、これはお約束の『マッサージネタ』だろ、絶対に」

「!!」

「俺らがバカコンビだと思っていてのひっかけだ」


なにやらドヤ顔の佐山を尊敬の眼差しで見る浦辺。
やはりバカコンビである。



ガチャリ



「帰ったぞー…………………って誰もいないのか?」



見回してみると締め切った部屋とドアが半開きの部屋が。
6人一部屋のここの寮では、個室は3つついており、二人一組で使う。

中田たちは人数の関係上5人だが。

山中は開いている方の部屋に入った。


「おい、帰ったぞ。何やってんだバカズ」


壁に張り付いている二人はギクリと固まっている。


「いいいいや!何も!なあ佐山!」

「あ、ああ!浦辺よ!お帰り山中!」


明らかすぎるほどに挙動不審な二人に、先ほどの二人のように壁に耳を当てる山中。



一旦顔をしかめたと思うと、すぐにニヤリとする。



「よし、俺もちょっくら混ざってくるな」




スタスタ、バタン。




そして程なくして隣の部屋に山中が入る音がした。



「え、ちょ!てか!マッサージなら俺らも隣に行けばよくね?」

「だ、だけど!ちがかったらどうすんだよ!?」

「さっき佐山がマッサージって言ったんだろ!?」


「だって山中のやつ『混ざってくる』って言ったぞ!」

「3P!?」

「!」

「…………」

「…………」



とりあえず、もう一度壁にへばりつく二人。


『ちょっ!……ん、んんん!』

『へぇ、力抜けちゃってんじゃねぇか。気持ちいいだろ、中田』

『……あっ、中田ぁ……いきなり痛くしないでぇ!』




壁から耳を離し、顔を見合わせる。


「ヤッてるだろ」

「ヤッてるな」




なんだかだんだん落ち込んできたので、耳栓をして二人でふて寝をした。

仲間外れのような、友達がヤッていたショックのような、混ざって当然な顔の山中にびっくりのような、寂しさがあった。





















「あー気持ちよかった」

「お前はゲームのしすぎだよ!てか山中はマッサージ上手すぎだろ」

「まあ、運動部だと自然と上手くなんだよ」

「てかこいつら本当バカだよね。なんで一緒に寝てんの。写メってネタにしよ」

「あからさまに引っかかってこっちがびっくりだわ」

「とりあえず気がつくまで騙そうぜ」

「山中の顔あくどいよ」

「バカすぎてなにも言えないね。俺たちの声が聞こえてるなら自分たちの声も聞こえてるって気づかないあたりバカすぎる」

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